2000/01/27 松竹試写室
渡辺淳一の原作を川島なお美主演で映画化した不倫愛の物語。
物語をなぞるだけの脚本には魅力が薄い。by K. Hattori
渡辺淳一の小説「メトレス・愛人」を、川島なお美と三田村邦彦主演で映画化。監督はつい先日『静かなるドン THE MOVIE』を観せてもらったばかりの鹿島勤。今回の映画は製作と配給が松竹だが公開規模は小さく、都内では銀座シネパトスと新宿ピカデリー4での公開となる。映画とは名ばかりで、これもまたビデオ市場向けの作品なのだ。内容もしっかり「ビデオでいいや」というできになっている。チラシの売り文句は「『失楽園』の渡辺淳一が、またひとり、センセーショナルなヒロインを生んだ」とあり、チラシの裏面には「あの『失楽園』の原典となったベストセラー小説を完全映画化!」と書いてある。大ヒットした映画『失楽園』の二番煎じであることは明白なんだけど、いくらなんでもこれじゃタイミングが遅すぎる。今さら渡辺淳一原作で映画館に客が来るはずがない。そのへんは松竹も自覚しているからこそ、規模の小さなパトス公開になるのでしょうけど……。