タイタンA.E.

2000/07/06 FOX試写室
エイリアンに地球を破壊され宇宙に脱出した人類の物語。
技術的にはすごいと思うがお話がダメだった。by K. Hattori


 『アナスタシア』に続くフォックス・アニメの第2弾。前回は帝政ロシア末期から革命に至る今世紀初頭を舞台に、皇女アナスタシアの波乱に満ちた生涯を描く時代劇だったが、今回はそれとは正反対の未来SFです。時は今から千年も未来の31世紀。人類の発展に脅威を感じた邪悪な宇宙人ドレッジ族は、ついに総攻撃を敢行して地球そのものを粉々に砕いてしまう。地球破壊間際に宇宙に脱出した人類は、宇宙の各地で故郷の星を持たぬ二流生命体としての地位に甘んじ、屈辱の日々を送らざるを得ない。だがそんな人類を、ドレッジはなおも根絶やしにしようとする。彼らは人類の何をおそれているのか? じつは彼らが地球を破壊したのも、人間の開発した「タイタン」という最新技術と関係があった。地球破壊の際、開発者のタッカー教授はタイタンを遠い宇宙に脱出させ、ドレッジから隠して封印した。その封印を解くカギを持っているのは、タッカー教授の一人息子ケールだけだ。ケールは宇宙船の船長コルソから、自分に課せられた使命を知らされる。

 3次元のCGと2Dのキャラクターを巧みに組み合わせてあり、両者のなじみもバッチリ。ドレッジの攻撃や、地球爆破とそこから逃れる宇宙船の群れなど、CGならではの迫力だと思う。巨大な氷の小惑星群の中で、宇宙船が追跡劇を繰り広げるところもなかなか見せる。全編に見どころが満載。上映時間1時間35分の最初から最後まで、まったく飽きさせることがない。しかし、面白いかと言えばさに非ず。この映画にはどうにも腑に落ちないところが多すぎるし、ひとつひとつの場面もどこかで見たことのあるような絵づらであることが多い。一番の問題は、やはり脚本だろうか。

 隠された秘密の財宝の地図が、船長の子供の身体に刺青として残されているという設定は、海賊ものの話によく出てくるパターン。指輪と遺伝子情報が反応してケールの手のひらに地図が浮かび上がるというこの映画の設定は、表面的には目新しいものの、発想としては昔の海賊映画と変わらない。疑問に思うのは、ケールの父親がいつの段階でこの地図を用意したのかという点。タイタン計画はいつからはじまり、タッカー教授はどの段階でドレッジの驚異を感じるようになったのか。そもそも、ドレッジの攻撃があったからタイタン計画が生まれたのか、それともタイタン計画があったからドレッジに攻撃されたのか、それすらもよくわからない。ドレッジが人類を攻撃する理由は、いったい何なんだ? 彼らは地球を一撃で破壊するテクノロジーを持っているのに、一体何をそんなに慌てているのだろうか。

 途中の冒険がどんなに面白くても、物語の根本部分に疑問を持ってしまうとそれだけで先に進めなくなってしまう。一体全体、タイタン計画とは何なんでしょうか? フォックスは『タイタニック』がヒットしたから、同じ語源(TITAN/ティターン)を持つ『タイタンA.E.』も同じようにヒットすると思ったのかしら。

(原題:TITAN A.E.)


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