馳星周の小説を三池崇史が映画化したらこうなってしまった。
これが東宝洋画系で全国公開。すごい。by K. Hattori
映画『不夜城』の原作者でもある馳星周の同名小説を、『オーディション』で男たちをインポにし、『DEAD OR ALIVE/犯罪者』のラストシーンで観客に座りションベンちびらせた、あの三池崇史監督が映画化。映画とは嘘である。映画とはスクリーンに映し出されたまやかしである。子供にでもわかりきったそんな嘘やまやかしを、作り手と観客が一緒になって楽しむ。その共犯関係の中に、この映画『漂流街』の楽しみがある。
物語の舞台が歌舞伎町になってからは、二重国籍者のアイデンティティ、海外への脱出願望、親に捨てられた混血の孤児、日本のヤクザと中国人マフィアの対立と小競り合い、ヤクザ組織内部での下克上、日本の中にある外国人コミュニティなど、三池崇史的な世界が一気に花開く。この映画に近いのは、中国残留孤児二世たちの暴力集団を描いた『日本黒社会/LEY LINES』だろう。同じテーマは『DEAD OR ALIVE/犯罪者』の中国マフィアにそのまま流れ込み、さらに形を変えて『漂流街』にも引き継がれているのだ。中国残留孤児が、ブラジルの日系人になっただけ。『日本黒社会/LEY LINES』のラストシーンと、『漂流街』のラストシーンの何と似ていることか。今回の映画は三池監督の作品としてはかなり大作の部類だが、やっていることはいつもと変わらない。