チャーリーズ・エンジェル

2000/10/27 日本劇場
ドリュー・バリモアが不良少女役に戻ってきた!
今年最高のバカ映画。楽しい! by K. Hattori


 '70年代に製作され一世を風靡した人気テレビシリーズ「チャーリーズ・エンジェル」の劇場版リメイク。匿名の大富豪“チャーリー”の命令で、難事件を解決するため世界中を飛び回る3人の美しきエンジェルたち。今回の映画でエンジェルを演じるのは、キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューという、現在ハリウッドで大活躍中の売れっ子女優たち。上映時間は1時間38分と最近の映画にしてはコンパクトだが、内容は盛りだくさんでとにかく観客を飽きさせない。

 世界有数のコンピュータソフト会社から天才技術者でもある社長が誘拐される。人質の救出と盗まれたソフトの奪回が、エンジェルたちに課された今回の使命。誘拐犯との格闘、重要容疑者であるライバル社へのハッキングなどを経て、最後は『M:I-2』のトム・クルーズも真っ青の大乱闘に突入。『マトリックス』には兄ユエン・ウーピンと共に参加していたというユエン・チョンヤンを武術指導に招き、飛んだり跳ねたり宙返りしたりというアクロバティックな格闘シーンが最初から最後まで延々続く様子は圧巻。こんなものを大真面目にやられたら白けちゃうけど、『チャーリーズ・エンジェル』は基本がマンガみたいなものだから許せてしまう。3人揃っての突きや蹴りが炸裂し、一段落するたびにカンフー映画風の見栄を切るあたりは笑っちゃうけど格好いいぞ。

 映画序盤の展開はかなりヌルい。飛行機やモーターボートを使った冒頭のアクションシーンも、手に汗握るシーンにはなっておらず、単に主人公3人を紹介するだけのものになっている。オープニングタイトルもキレが悪く、同じ'70年代リメイクものの『シャフト』などに比べるとかなりネムイ仕上がり。このあたりは正直言って心配した。主演3人の人気とタイトルの知名度だけを利用した、大味ですの入ったスカスカ映画になっているのではと思ったのだ。ところがこの映画、こうした適度なネムさやヌルさを最初から狙っているらしい。うら若い美女3人が超人的なアクションを披露するという荒唐無稽なバカバカしさを全編で維持するためには、物語の枠組み自体をある程度ユルユルにしておかないとどこかで無理が出る。全体をタイトに引き締めるより、全体にゆったりとしたアソビがあった方が、いざという時に踏ん張りが利くのです。この映画はそのアソビが極端に大きい。だから物語が本格的に動き始めるまでは、そのアソビがヌルさやユルさに見えてしまう。ところが一端物語が動き始めるや、アソビを十分に生かして緩急自在の展開。映画の最後まで大いに楽しめます。

 おそらくこの映画がどんなにヒットしても、絶対に続編なんて作れっこない企画です。続編を作るつもりなら、主演キャストはこんなに豪華にしない。この映画はこれ1度きりの打ち上げ花火。そう割り切っているから、やっていることがとにかく派手だし、アイデアの出し惜しみもしていない。楽しくて、すごく楽しくて、とっても楽しい映画。個人的にはすごくハマッてしまいました。

(原題:CHARLIE'S ANGELS)


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