『BRUCE LEE in G.O.D 死亡的遊戯』は、リーが撮影したアクションシーンをできるだけ復元し、スクリーンに蘇らせようとした映画だ。『死亡的遊戯』というのは、リー自らが『死亡遊戯』に付けていたタイトル。映画の前半はブルース・リーが『死亡的遊戯』の製作をはじめてから『燃えよドラゴン』出演に至るまでの実録風ドラマに、関係者のインタビューを交えたもの。映画の後半は、本来あるべき姿に復元された『死亡的遊戯』のアクションシーンだ。正直言って、ドキュメンタリー作品としてはまったく物足りない。そもそもこの映画をドキュメンタリー映画にするつもりなど、作り手側にはなかったのだろう。アクションシーンの再編集だけでは1本の映画として長さが中途半端なので、わざわざ再現ドラマをくっつけて1時間31分にしているだけだろう。
本来ならこのアクションシーンは、『死亡遊戯』のDVDに特典映像として収録するようなレベルのものなのだ。映画としてはあまりできのよくない『死亡遊戯』だから、DVDにこの豪華なオマケが付けば、皆争って購入するだろう。『BRUCE LEE in G.O.D 死亡的遊戯』もいずれはDVDになるだろうが、観る人は前半のドラマ部分なんて飛ばして、後半のアクションシーンしか見ないと思う。映画もそういうことを想定して作っている。ドキュメンタリーとして作るなら、アクションシーンの目玉になっているダン・イノサント、チー・ハンサイ、カリーム・アブドゥール・ジャバールとの格闘シーンがどう撮影されていたのかを、関係者の証言を交えて解説してほしいし、撮影されたものが『死亡遊戯』の中でなぜあそこまで短くカットされなければならなかったのかもきちんと語っておくべきだろう。