ウェディング・プランナー

2001/04/02 ヤクルトホール
ジェニファー・ロペスとマシュー・マコノヒー主演のラブコメディ。
物語は予定調和だがちゃんと面白く仕上がってる。by K. Hattori


 女優兼歌手として最近人気沸騰中のジェニファー・ロペスの主演最新作は、結婚式をプロデュースするウェディング・プランナーとして多くのカップルの門出を演出しながら、本人は男運に恵まれず独身を通しているという女性が主人公のラブ・コメディ。内容は結構ベタベタで先の展開も全部読めてしまうのですが、こういう予定調和な映画には、添乗員付きパック旅行のような気安さと安心感がある。物語には紆余曲折があっても、あっと驚く波瀾万丈はあり得ない。最後はきちんとハッピーエンドになってめでたしめでたし。こういう映画は新しさや斬新さを求めても意味がない。決まり切った枠組みの中に、今が旬の人気女優を放り込んであり合わせの素材と組み合わせ、新鮮な状態で観客の前に出せばいいのです。見どころは「ジェニファー・ロペスのラブコメ!」というただその1点のみ。あとは付けたりです。

 ヒロインのメアリー・フィオレは毎日のようにお客の結婚式を取り仕切っている一流のウェディング・プランナーのくせに、自分が結婚するなんて考えてもいない。彼女は何年も前につき合っていた男性にこっぴどく振られた過去があり、それが新しい恋に出会う障害になっている。そんな彼女を心配して、父親は故郷イタリアからメアリーの幼なじみの青年を連れてきて、無理矢理娘と結婚させようとする始末。栄えある婚約者に選ばれたマッシモ青年は美しく成長したメアリーを見てすっかりその気だが、彼女の方はまったくその気になれない。そんなある日、彼女は町で偶然知り合った青年医師スティーブに心ときめかせる。だがそれから数日後、クライアントである富豪の娘から「私の婚約者よ」と紹介されたのがスティーブだったからびっくり。メアリーはスティーブを諦め、仕事だと割り切ろうとするのだが……。

 主人公が心惹かれる小児科医師スティーブを演じているのは、『評決のとき』『U-571』のマシュー・マコノヒー。観客は最初から「どうせ最後はジェニファー・ロペスとマコノヒーが結ばれるだろう」と承知の上で映画を観ている。スティーブが結婚する相手は大富豪の令嬢なのだが、南部訛り丸出しでしゃべるマコノヒーがそんなお嬢様と釣り合いがとれるわけない。庶民派は庶民派同士でくっついた方がいいに決まってる。スティーブにお似合いなのは令嬢のフランではなく、イタリア移民の娘メアリーなのだ! ……と、観客の誰もが思うであろう人物配置になっているところがミソです。

 こうしてゴール地点があらかじめ見え見えになっているから、物語の中でどれだけ主人公ふたりの関係を険悪にしても、ドラマの足腰は盤石でまったく動じない。スティーブとフランの結婚式準備が着々と進み、メアリーとマッシモの冷戦が解けて「マッシモもわりといい男かも」と思わせる展開になろうと、ストーリーの筋道に少しのブレも生じないのはさすがです。絶対に安全が確保された予定調和の面白さが楽しめる人なら、この映画はそれなりに満足できる作品だと思います。

(原題:The Wedding Planner)

2001年6月公開予定 日劇プラザ他 全国東宝洋画系
配給:日本ヘラルド映画
ホームページ:http://www.wedding-jp.net


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