悪魔が棲む家2001

2001/05/01 徳間ホール
美少女アイドルタレント14人による3話オムニバスのホラー映画。
ビデオ撮りだし話はチャチだし。つまらん。by K. Hattori

 '79年に1作目が作られて以来、現在まで9作も作られているアメリカの人気ホラーシリーズ『悪魔の棲む家』('79〜'00年)とは縁もゆかりもない、日本製のアイドル・ホラー映画。15歳から21歳までの美少女アイドル14人が、3話オムニバスのドラマの中で恐怖体験をするという趣向。上映時間が1時間半だから、1話あたりの時間は13分。そこに14人が出演するのだから、第1話が6人、第2話と第3話が4人ずつという割り振りになっている。出演者は彼女たち中心なので、どのエピソードも若い女の子たちだけが大勢出てきても不自然にならないシチュエーションを作っている。第1話は女子水泳部の合宿。第2話はクリスマスイブの女子寮。第3話は友だち同士での小旅行。しかしこうして全部を通して観ると、やはりどうしようもなく不自然で安っぽい。

 そもそもこの規模の映画で、撮影がビデオ、音声がモノラルというのがなぁ……。たぶん民放深夜枠のミニドラマ程度の製作費と日程しかなかったんでしょうけれど、だったら最初から民放深夜枠のミニドラマにすればいいことであって、わざわざ映画にする必然性なんてどこにもない。テレビだと残酷描写が規制対象になるのかもしれないけど、この程度の残酷描写なんて、べつになくたって一向に構わないレベルのものだと思う。この映画の中の残酷描写は、はたして観客の恐怖感を煽ることに貢献しているだろうか? 僕はこの映画に生理的な嫌悪感を感じたけれど、嫌悪感は恐怖とはまた別物です。

 それに僕が嫌悪感を感じたのは残酷描写そのものより、登場しているアイドルタレントたちの低能演技によるところが大きい。明らかに日常会話よりオクターブ上のうわずった声で交わされる白々しい会話や、それよりさらに2オクターブ高く発せられる悲鳴には頭が痛くなるし、ずっとこれを聞いていると全身にぞわぞわと鳥肌が立ってくる。たぶん出演しているひとりひとりは、自分たちなりに一生懸命「演技」らしきものをした結果なんでしょうけれど、もうちょっと「恐怖」の表現にバリエーションがないと観ている方は飽きてしまうし、「いい加減にしろ!」と言いたくもなる。

 出演者も予算規模も撮影日程も、すべてが規制された中で作られた映画だと思う。出演者はほとんどが演技力ゼロの素人ばかり。これでは芝居の演出もへったくれもない。だったらせめて、脚本と編集で作り手の腕を見せるべきではないのか。もっとはっきり言えば、そこしかいじるところがないだろう。しかしこの映画は脚本がそもそもダメ。事件の背後や結末をすべて台詞で説明してしまう第1話は『13日の金曜日』もどき。第2話は明らかに『ハロウィン』だけど、犯人が死んでないのに「死体が消えた」とはなんでしょう? 第3話は面白いアイデアだけど、家の中から死体が発見されたとき警察に電話しないのはなぜなんだろうか?

 これはアイドル写真集を買うような人たちが、お気に入りのアイドル目当てに観る映画なのでしょうね。

2001年5月12日公開予定 新宿ジョイシネマ(レイト)
配給:パル企画
ホームページ:http://www.movienet.co.jp/Akuma2001/


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