スパイダーズ2

2001/05/07 GAGA試写室
タンカーを改造した研究所の中で巨大グモが大発生。
もっと無茶をやってもよかったのに。by K. Hattori

 超B級の巨大動物モンスター映画『スパイダーズ』の続編だが、巨大グモが大暴れする以外には物語の上で特に前作とのつながりはない。前作は最初から舐めてかかっていたら最後の最後にとんでもない大逆転が生じ、観ているこちらはあ然とするやら笑ってしまうやらという快作だったが、今回は最初からある程度の心構えができているせいか、前作の衝撃も面白さも感じられなかった。演出も手慣れていてサスペンス描写などもそこそこ盛り上がるし、SFXやVFXにも手が込んでいてそれなりに観られるレベルに達してしまったことで、前作にあった超B級の“トホホ感”が薄れてしまったのは残念。これじゃ平凡なB級映画ではないか。

 今回の映画の舞台は、太平洋に浮かぶ巨大な貨物船。そこではクモの研究に取り憑かれたマッド・サイエンティストが、禁断の研究を続けていた。船倉に巨大な檻を作って巨大グモを閉じこめ、付近の海を通りかかる他の船を襲って生きた人間をさらってきては、クモの餌にしているのだ。船員たちも博士が用意した高額の報酬に目がくらみ、この非人間的で犯罪的な研究に手を貸している。そんなこととは夢にも思わないまま、嵐で遭難したアレクサンドラとジェーソンというカップルがこの船に「救出」されてしまう。奇跡の救出劇と手厚い歓迎だったが、彼らは自分たちがクモの餌にされることを知らない。アレクサンドラは船長の丁寧なもてなしに大感激だが、ジェーソンは少しずつこの船の秘密に気付いていく。

 映画は『ジュラシック・パーク』や『エイリアン』などのモンスター・パニック映画をなぞっていて、観ていてもまったく新鮮味はない。当然の話だろうが予算がないのは前作同様らしく、『パーフェクト・ストーム』ばりの大嵐はやってくる、タンカーの上を無数の巨大グモが這い回る、『タイタニック』みたいな船の沈没シーンはあると、見せ場は盛りだくさん過ぎるぐらい盛りだくさん。当然どのシーンもひどく安っぽいのだが、この映画はその安っぽさこそが面白さであり魅力。配役もわかりやすい。クモの研究をしている博士は登場したときから「これじゃ悪役レスラーじゃないか!」というような怪人物で、これで怪しいと思わなきゃどうかしている。船長がもう少しブチ切れた芝居をしてくれると、さらに面白い映画になったと思うんだけどな。

 物語のドラマが貨物船内部に限定されていることから、この映画は前作の規模拡大版ではなく、むしろ規模を縮小した作品であることがわかる。クモの数は増えているけど、巨大化という意味では前作の方がインパクトがあった。なぜ短時間にクモがあれほど巨大化するのか、僕には未だにさっぱりわからない。前回あった「そんなこと考える余裕があったらまず逃げろ!」という強引さが今回は欠けており、その点でも大いに不満の残る映画なのだ。個々のシーンはそれなりに手堅く作ったつもりなんだろうけど、図々しさや大胆さがなくなってかえってこぢんまりした作品になっているかもしれない。

(原題:Spiders 2)

2001年6月9日公開予定 新宿ジョイシネマ(レイト)
配給:マクザム 宣伝協力:スキップ
ホームページ:http://cinema.cinematopics.com/works/output2.php?oid=1500


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