ハムナプトラ2
黄金のピラミッド

2001/05/22 UIP試写室
ヒット作『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』の待望の続編。
全編が見せ場だけで構成された映画。 by K. Hattori


 大ヒット作『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』の続編。前作はユニヴァーサル・ホラーの古典『ミイラ再生』のリメイクだったが、今回からは冒険家リック・オコーネルを主役にしたオリジナル路線に突入。前作のキャラクターを生かしつつ、新たな設定やキャラクターをふんだんに盛り込んだ冒険活劇映画になっている。監督・脚本は前作に引き続いてスティーブン・ソマーズ。この監督は語り口にスマートさがないし、映像に斬新なスタイルがあるわけでもない。むしろ少し野暮ったくて垢抜けないところがある。でもこの監督の偉いところは、おそらくそんな自分自身の監督としての資質を十分に理解した上で映画を作っていることだろう。

 この映画には演出に凝って「どうだすごいだろう!」と自画自賛するようなところがひとつもない。見せ場の多くは他の映画に登場したイメージからの引用や借用で、個々のシーンに新鮮さはあまり感じられない。しかしこの映画はそんな新鮮味のなさを、圧倒的な物量としつこさで補っている。上映時間2時間10分のほぼすべてが見せ場。アクションに次ぐアクションの連続。出し惜しみとか思わせぶりという言葉はこの映画には不要だ。観客が観たいと思うものを、とにかくたっぷりと見せる。「もういいよ」と観客が思っても、まだ見せる。「いい加減にやめてくれ」と観客がうんざりしても、まだ続ける。ここまでやられたら、観客としては「もう参りました」と手をあげて降参するしかない。

 映画冒頭にある5千年前の戦闘シーン。砂漠を埋め尽くす、膨大な人、人、人。画面の両側からアリの大群のように猛スピードで駆け出した歩兵の大群が、画面中央でぶつかり合って土煙を上げる。もう僕はこのシーンを観ただけで「参った!」と思った。この映画のすごさは、この導入部のテンションが映画の最後まで維持されること。このジャンルの映画で最近成功したのはルーカス&スピルバーグのインディ・ジョーンズ・シリーズだろうが、その3部作のエキスをぎゅっと濃縮して、さらに古今東西の冒険活劇映画から見どころをつまみ食いした上に、最新のデジタル技術で圧縮処理したような映画です。僕は最初の1時間でもう満腹状態。この映画を1本観れば、半年ぐらいは冒険活劇映画は観なくても平気です。

 今回の映画で嬉しかったのは、前作では出てきてすぐ消えてしまったイムホテップの恋人アナクスナムンが、映画全編に渡って活躍するところ。演じているパトリシア・ヴェラスケスは『ジャガー』の時から注目していたので、今回の大抜擢は嬉しい。イムホテップすら脅かす5千年前の伝説の戦士スコーピオン・キングも、なかなかのナイス・キャラクター。終盤はCGになってしまうのが寂しいと思っていたら、なんとこのキャラクターを使ってもう1本映画を作る計画があるらしい。アナクスナムンといいスコーピオン・キングといい、「受けている!」と思えばすぐに次の作品につなげていくはしっこさには頭が下がる。しばらくはシリーズを続けてほしい映画です。

(原題:THE MUMMY RETURNS)

2001年6月9日公開予定 日本劇場・他 全国東宝洋画系
配給:UIP
ホームページ:http://www.uipjapan.com/mummy2/


ホームページ
ホームページへ