ジュラシック・パークIII

2001/07/12 イマジカ第1試写室
監督がスピルバーグからジョー・ジョンストンに交代した最新作。
ストーリーは単純だが危機また危機でスリル満点。by K. Hattori

 バイオテクノロジーで現代によみがえった恐竜が、人間相手に大暴れする大人気『ジュラシック・パーク』シリーズの第3弾。前2作を監督したスピルバーグは今回製作総指揮に退き、『ジュマンジ』『遠い空の向こうに』のジョー・ジョンストンが新しい監督になった。主人公は1作目に登場した古生物学者のアラン・グラント博士で、1作目に引き続いてサム・ニールが演じている。同じく1作目からはエリー役のローラ・ダーンが再登場しているが、これはゲスト出演のようなものだ。

 物語の舞台は2作目『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』に登場した恐竜研究と孵卵施設があるサイトB。今はあらゆる人間が立ち入りを禁止されたサイトBだが、遠くからでも一目恐竜を見ようと島に近づく人たちは後を絶たない。12歳の少年エリックは、恐竜見物のパラグライダーで島に墜落。両親はグラント博士をガイドに雇って島に強行着陸し、行方不明になっている我が子の消息を探す。だが飛行機はすぐに恐竜に襲われて飛行不能になり、ジャングルに取り残された博士たちはエリックの消息を探しつつ、島からの脱出ルートを求めて海に向かう。過去2作では恐竜を管理したり狩りの対象にしようとしていた人間だが、この3作目ではそうしたことを一切諦めている。この映画では恐竜と人間が戦わない。戦ったところで勝ち目がないことは、過去2作で十分骨身にしみている。人間は恐竜と正面からは向き合わず、ひたすら逃げるしかないのだ。

 映画の導入部で登場人物たち全員を島の中央に放り出し、あとはひたすら生きて逃げ延びることに専念させるというシンプルな物語。だがその行く手には数々の障害が待ちかまえている。前2作でお馴染みとなったT-REXやラプトル。小型肉食恐竜のコンピー。そして今回新たに登場するのが、T-REX以上の獰猛さを持つ最強の肉食恐竜スピノサウルスだ。映画の後半では翼竜プテラノドンも登場して、人間たちをきりきり舞させる。これはまるでアドベンチャーゲームだ。ひとつの問題を解決してそのステージをクリアすると、次にはまた別の問題が発生して、それをクリアするまで次のステージには進めない。この映画はハリウッド映画のルーティンに完全に適合した娯楽作であり、観客が感情移入できる人間たちが恐竜に殺されることはないということなど最初からわかりきっている。どんな危険も「どうせ助かる」「どうせ死なない」という前提での危険だから、これはゲームの中の登場人物が冒険をするのと同じこと。

 スピルバーグが直接タッチしていない映画なのに、映画の中にはスピルバーグの『ジョーズ』を連想させるシーンがいくつかある。例えば飛行機がスピノサウルスに襲われるシーンは、『ジョーズ』でロバート・ショーが鮫に食われるシーンみたい。映画のクライマックスにある川での死闘は、やはり『ジョーズ』のクライマックスにうりふたつ。スピルバーグ映画で育った僕は、こういう場面を見て思わずニヤリとしてしまいました。

(原題:JURASSIC PARK III)

2001年8月11日公開予定 全国東宝洋画系
配給:UIP

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