デュエット

2001/08/07 映画美学校第2試写室
3組のペアがカラオケチャンピオンを目指すヒューマン・コメディ。
グウィネス・パルトロウが父の監督作に初主演。by K. Hattori

 人生にさまざまな問題を抱えた性別も年齢も違う人たちが、カラオケを通じて目の前の壁を乗り越えていくというヒューマンコメディ。歌が登場人物たちの心情を代弁し、歌が人間関係を変化させていくという意味で、これは一種のミュージカル映画と言えるだろう。集団劇なので特定の主人公というのはいないのだが、ドラマは3組のペアを設定してそれぞれのエピソードを平行して描き、最後の決勝戦で全員が同じ場所に集合する。

 登場するのはグウィネス・パルトロウ扮するラスベガスの踊り子リヴと、ヒューイ・ルイスが演じるダメ親父のリッキー・ディーン。リヴの母親が彼女を妊娠したことを知るや逃げ出したリッキーは、リヴの母が死んだことで生まれて初めて娘と親子の名乗りを上げ、傷心の娘と一緒に旅をすることになる。リッキーの仕事は各地のカラオケバーで賞金と掛金を稼ぎ回るカラオケ・ハスラーだ。ポール・ジャマッティ演じるトッド・ウッズは、全米を飛行機で飛び回るセールスマン。家を空けがちの彼は、家に帰ってもそこに安らぎを得られない。行き場を失い家を飛び出した彼は、アンドレ・ブラウアー扮するレジー・カーンというヒッチハイカーを車に乗せる。彼は刑務所からの脱獄囚だったが、たまたま入ったカラオケバーで類い希な歌の才能を披露する。そして新鋭スコット・スピードマンが演じているのが、友人に妻を寝取られてしまったビリーという青年。帰る家を失ったビリーは、カラオケバーで賞金稼ぎのスージー・ルーミスと知り合い、大会会場まで一緒に旅をすることになる。スージーを演じているのはマリア・ベロ。

 監督のブルース・パルトロウはグウィネス・パルトロウの実父で、もともとこの映画は彼女がブラピと付き合っていた頃、グウィネスとブラピの共演作として企画されていたものだという。もともとブラピが演じるはずだった役は、寝取られ男のビリー。そう言われてしまうとついついこの役にブラピの面影を重ね合わせてしまうから、演じているスピードマンには少々お気の毒。映画の中ではビリー以外が全員カラオケを熱唱するが、プロの歌手であるヒューイ・ルイスが上手いのは当然としても、グウィネスやポール・ジャマッティまでなかなか聴かせる歌声の持ち主なのには驚いてしまった。ポール・ジャマッティが歌う「トライ・ア・リトル・テンダネス」なんて、思わずニヤリと笑ってしまう。この曲は映画の最後に再び使われて、思わずそこでホロリ。ただし相手役のアンドレ・ブラウアーの声は吹き替え。心配だったのはグウィネスとルイスの父娘デュエットだが、これも上手い。グウィネスのリードをうまくルイスがフォローして、息のあったハーモニーを聴かせてくれる。

 この映画に主演するにしては、グウィネス・パルトロウが少し大物になりすぎてしまったのが玉にきず。ラスベガスでトレーラー暮らしをしている貧しいダンサーには見えないのです。でもそんな彼女の相手役が超大物シンガーのヒューイ・ルイスだから、バランスは悪くない。

(原題:duets)

2001年9月29日公開予定 シネマ・カリテ(レイト)
配給:HRSフナイ株式会社 宣伝・問い合せ:クレストインターナショナル
(上映時間:1時間52分)

ホームページ:http://www.crest-inter.co.jp/

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