スポット

2001/09/28 ワーナー試写室
FBIの敏腕捜査犬が殺し屋に追われて逃げ込んだ先は……。
デイビッド・アークエット主演の爆笑コメディ。by K. Hattori

 敬意を込めて“捜査員11号”と呼ばれているFBI捜査犬11号は、逮捕したギャングに逆恨みされ、殺し屋に命を狙われることになる。危険を察知したFBIは11号を安全な場所に送ろうとするが、その途中にもギャングの手が回る。危険を感じた犬は自ら脱走。偶然近くに通りかかっていた郵便配達車に逃げ込んだ。中にいたのは郵便配達員のゴードンと、彼が近所の美人シングルマザーから預かっていたジェイムズ少年。もともと犬が飼いたくて仕方なかったジェイムズは、突然車に入ってきた11号をゴードンが自分にプレゼントしてくれたものだと思いこむ。犬嫌いのゴードンは突然現れた犬に面食らうが、ジェイムズの嬉しそうな顔と、彼の気を引けばその母親からも一目置かれるようになるだろうという打算もあって犬の世話をすることにする。犬の名前は“スポット”に決めた。だが捜査犬11号は厳しい訓練で遊ぶことを禁じられているため、芸もしなければボール遊びもしない、きわめて無愛想な犬だった。

 いつまでも子供っぽさが抜けない郵便配達ゴードンを演じているのは、『スクリーム』シリーズのデイビッド・アークエット。監督はジェイソン・プリーストリー主演の『カレンダー・ガール』が日本でも公開されているジョン・ホワイトセル。本作はワーナー・マイカル系の劇場で全国公開され、その際は小学校低学年でも簡単に読める、《キッズ対応「はじめての字幕」》付きでの上映となる。(試写はこの「はじめての字幕」に未対応だった。ちょっと残念。)こうした試みはちょっと面白いと思う。この字幕が子供にとってどの程度読みやすいものなのかは実感としてよくわからないが、ファミリー向け映画本来の対象年齢に向けて、上映環境のハードルを下げていくという工夫や努力はどんどんなされるべきだろうと思う。日本語吹き替え版もそうした工夫のひとつだけれど、字幕にも工夫があったっていい。ただしこうした工夫は、デジタル配給・上映環境が完全に整備されるまでの過渡的なものだとは思うけれど……。

 予告編では「はじめての字幕」とオナラやウンチなど不潔ギャグが売りの映画という印象を受けたのだが、実際はキャラクターの魅力とエピソードの積み重ねで観客を引き込んでいくオーソドックスなコメディ。孤児として生まれ育って家族の愛情を知らないゴードンと、母子家庭のジェイムズ、そして愛情をかけて育てられながらも人と打ち解けて遊ぶ楽しさを知らないスポットの3者が、数日間の交流を通して自分たちの欠落を埋めていくというお話だ。中心は大人と子供と犬の生み出すドラマだが、それにギャングやFBI捜査官たちが引っ張り回される。ここに登場する脇役たちの顔ぶれがまた豪華。どれも型にはまったステレオタイプの役柄ではあるが、その範囲内でたっぷりと自分たちの存在感をアピールしている。強面のマイケル・クラーク・ダンカンが見せるコメディアンぶりに大笑い。ゴードンの相棒を演じたアンソニー・アンダーソンはうまいなぁ……。

(原題:Spot)

2001年11月10日公開予定 全国ワーナー・マイカル・シネマズ
配給:ワーナー・ブラザース映画

(上映時間:1時間37分)

ホームページ:http://www.warnerbros.co.jp/

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