痩身男女

2001/11/04 シアターコクーン
アンディ・ラウとサミー・チェンが特殊メイクで劇ブトリ!
愛のためなら半年で90キロ痩せられるか? by K. Hattori

 『Needing You』と同じスタッフ・キャストで作ったラブコメディ。主演はアンディ・ラウとサミー・チェン。監督はジョニー・トーとワイ・カーファイ。原題は『Needing You』の原題である『孤男寡女』のパロディなのだが、内容的には特につながりはない。むしろ劇中にジョニー・トー監督のアクション映画『ザ・ミッション/非情の掟』のパロディが出てきた時には笑った。これは上映会場でもゲラゲラ笑っている人が何人かいたけど、かなりマニアックな笑いだなぁと思う。もちろん香港じゃ『ザ・ミッション〜』も大ヒット作だからパロディとして成立するんでしょうが、日本じゃなぁ……。

 日本人ピアニスト黒川と付き合っていた香港女性のミニは、彼をアメリカ留学に送り出した後、ストレスで過食症になってしまう。それから10年。一流ピアニストとして帰国た黒川は、目の前にすっかり太ったミニがいてもまるで気づかない。ショックを受けたミニは自殺を図るが失敗。たまたま同宿だった香港人ビジネスマンに助けられたミニは、10年前に黒川と約束した再会の日に向けて、過酷なダイエットを行うことにする。

 アンディ・ラウもサミー・チェンも、全身特殊メイクでぶくぶくに太っている。手がグローブみたいになるのは少々問題ありだが、顔や体型は完璧なデブ。サミーは「痩せると可愛いのよ〜」ということで、太った顔ながらも多少素顔がわかるようになっているが、アンディ・ラウは凄すぎる。僕は映画の最後の方になって、すっかりアンディの素顔を忘れてしまいました。ヒロインのミニが半年で90キロ痩せるという過激なダイエットに挑むのだが、その方法もかなり尋常じゃないもの。これはこれで笑わせるが、それよりも横浜や新宿で太ったふたりがロケ撮影しているのはすごい。ふたりが声を張り上げて「痩せた〜い!」「モテた〜い!」「がんばるぞ〜!」「早く人間になりた〜い!」と叫ぶシーンは爆笑。

 10年後の再会というアイデアは、竹野内豊とケリー・チャン主演の映画『冷静と情熱のあいだ』の香港版みたいでおかしい。『冷静と〜』では再会の場所がフィレンツェだけど、『痩身男女』ではそれが横浜のマリンタワーになっている。香港の人にとって横浜は、日本人にとってのフィレンツェと同じぐらいの価値があるのかなぁ……。それともイタリア人から見れば、フィレンツェのドゥオモも横浜のマリンタワーと同じぐらいの価値しかないんだろうか。そんなことを考えてしまう。

 サミーが演じるミニのキャラクターは、『Needing You』で彼女が演じたヒロインの性格とかなりかぶっている。もともと『Needing You』のヒットを受けての比較だから、これは当然なのかもしれない。逆上したミニの運転する車が、桟橋で海に転落しそうになるシーンは面白かった。それにしても、サミーとアンディの役者魂はすごい。彼らをそこまで乗せてしまう監督もすごい。映画としてはぬるいところもあるけど、僕は好感を持ちました。たぶん日本でも公開されると思うけどね。

(原題:痩身男女 Love on a Diet)

東京国際映画祭・シネマプリズム
(上映時間:1時間34分)

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