GIRLS★GIRLS

2002/02/04 メディアボックス試写室
ドイツの女子高生3人組が、オルガズムを求めて性の大冒険。
恋愛とセックスをテーマにしたガールズ・ムービー。by K. Hattori

 セックスの話題に興味津々の女子高生3人組を主人公にした、ドイツ生まれのティーン・コメディ。女の子版『アメリカン・パイ』みたいなものだと考えると、まず間違いのない映画だ。ただしこのお話のテーマは誰もが憧れる「初体験」ではなく、「どうしたらオルガズムが得られるか?」というセックスの核心部分。主人公の女の子3人組のうち、ひとりは処女だが残り2人は既にボーイフレンドとのセックスを体験済み。でも何度セックスしてみても、彼女たちには世間で喧伝されている「イク」という感じがイマイチよくわからない。「俺にかかればバッチリだぜ!」という自信満々な男たちも、いざベッドの中では自分勝手で独りよがりなセックスをするばかりで、女の子のことなんて何も考えてくれない。いったいイクってどんな感じなの? 親友3人組は、幻の「イク」感じを求めて危険な冒険を繰り広げる。

 ドイツ映画が日本でほとんど公開されていないこともあり、出演者も監督も日本ではまったく無名。しかしそんな無名性が、かえって「普通の女の子や男の子たち」という感じを際だたせて、この映画に親近感を持たせてくれる。監督はこれが長編デビュー作のデニス・ガンゼル。主人公3人組は三者三様の個性の持ち主で、そこそこ可愛いけど極端な美女というわけではない普通っぽさが好印象を残す。要するに、普段そのへんを歩いていそうな普通の女の子たちなのだ。これは登場する男の子たちについても同じことが言える。

 セックスの話題は、ヘタをするとジメジメと暗く陰湿な方向に向かう可能性がある。特に女の子たちがセックスの冒険を繰り広げるというこの話の場合、主人公の女の子たちがセックスしか眼中にない不良少女のように見られてしまう可能性もあっただろう。でもこの映画はそのあたりをうまく回避して、明るく楽しい青春映画にしている。これは脚本のうまさもあるし、周囲にセックスを罪悪視する道徳の持ち主が直接配置されていないことも計算ずくのことだろう。主人公のひとりインケンの父親は、娘とふたり暮らしの家にモデルのガールフレンドを引っ張り込んでご機嫌のいかすオヤジだし、ビッキーの母親は娘やその友人たちのセックス相談に乗るさばけたオバサンだ。電話を取り次ぐレーナのおばあちゃんもイイ感じ。この映画で「セックスなんて汚い!」と言うのは、ビッキーの母親の診察室に通うノイローゼ気味の男ぐらいのもの。要するに「セックスなんて」という大人は、この映画の中で笑いの対象なのです。

 映画全体がオレンジ色や黄色の暖色系でまとめられた暖かい雰囲気、映画全編を彩るポップミュージック、登場する高校生たちのいかにも今風のファッションセンスなど、まるで映画全体が女の子向けのファッション誌みたいな雰囲気。オルガズムを求める話を進めながら、セックスのハウツー映画にはなりっこない。最後は青春映画の王道である「本当の愛」できれいにまとめるあたりも、この映画を安心して観られるものにしている。

(原題:Madchen Madchen)

2002年春休み公開予定 シネ・アミューズ
配給:ギャガ・コミュニケーションズ ヨーロッパ映画グループ 
宣伝:ポップ・プロモーション

(上映時間:1時間29分)

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/girls/

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