2002年春・東映アニメフェア

2002/02/26 東映第1試写室
『ONE PIECE』と『デジモンテイマーズ』の中編2本と短編1本。
大人が観るにはちょっと退屈な内容かも。by K. Hattori

 テレビアニメの劇場版新作をカップリングした、春休み恒例の東映アニメフェア。今年は『ONE PIECE×珍獣島のチョッパー王国』(55分)と『デジモンテイマーズ/暴走デジモン特急』(30分)に短編『ワンピース/夢のサッカー王』(5分)を加えた長短3本立て。全部で上映時間は1時間半というのは、番組構成としてはまずまずのバランスかもしれない。僕は『ONE PIECE』も『デジモン』もテレビでは見ておらず、もっぱら映画版のみを観ている。それでも初期の『デジモン』2,3作には夢中になったけれど、今回の映画は『ONE PIECE』も含めてちょっと単調。マンネリ気味というより、明らかに物語が縮小再生産の方向に向かっているような気がした。以下、上映順に各作品の感想。

 『ワンピース/夢のサッカー王』は、今年のワールドカップと歩調を合わせた便乗企画だろう。もっとも最近の子供たちの中では、野球よりもサッカーの方が人気がありそうだから、そういう意味では便乗もへったくれもないのだけれど。海賊船チームと悪役チームが対決し、最後はPK勝負になるというのはありがちな展開で、最後のオチもまぁこんなものだろうか。人がぎっしり埋まった観客席をCGで描くなど、デジタル処理のメリットを生かした作品に仕上がっていると思う。

 『デジモンテイマーズ/暴走デジモン特急』は、突然山手線に現れた機関車型デジモンの暴走を食い止めようと、主人公たち少年少女がデジモンたちと活躍する話。『デジモン』はそもそも大人が知らないところで起きているデジタルワールドの危機を、子供たちがデジモンと一緒に解決していくというコンセプトだったと思うのだが、今回の映画を観ると、そのコンセプトが最近になって大きく路線変更していることに気づく。最近は単なる怪獣映画だ。猛スピードで走る列車に子供が飛び移るなど、現実味のないアクションシーンもあって興醒めしてしまった。ただしこれを観た子供は、これでもちゃんと面白がるんだろうなぁ。そもそも『デジモン』の1,2作目がスゴイなんていうのはマニアックな大人の観客の見方でしかないわけで、製作スタッフとしては「子供たち」の要望に添う形での路線変更なのだろう。

 『ONE PIECE×珍獣島のチョッパー王国』は、主人公ルフィたちの仲間チョッパーが、偶然たどり着いた王冠島の動物王になってしまうというお話。そこにバトラー伯爵と名乗る男たちがやってきて、王冠島唯一の人間の少年モバンビーとからむ。父の仇を息子がとか、力はなくても友情がとか、非力でもやる気だけはとか、お題目が次々に並ぶばかりで、肝心の活劇としての面白味には乏しい。悪役の中に自称「世界一の剣の使い手」や自称「世界一の足技の使い手」がいるのだが、「ワンピース」のファンなら、そうした称号を得られるのがゾロやサンジだということを知っている。だから敵が剣や足技で攻撃してくる以上、海賊たちは決して倒れない。これじゃスリルがないよ。悪役たちが空回りしている。

2002年3月2日公開 全国東映系
配給:東映

(上映時間:1時間30分)

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