少林サッカー

2002/03/13 メディアボックス試写室
少林拳の達人たちがサッカーに挑む、カンフー・サッカー・コメディ。
チャウ・シンチーにとって最大のヒットとなった作品。by K. Hattori

 香港で歴代興行記録を大幅に塗り替えるヒットとなった、チャウ・シンチー監督・主演のコメディ映画。幼い頃から少林拳の修行に励み、足技の奥義を究めたシンは、少林拳普及を志すがまったく成果が上がらず、今は町でクズ拾いのバイトをして暮らす毎日だ。だが彼の前に現れた往年の名サッカー選手ファンは、シンの妙技に心酔。ふたりでサッカーチームを作ることに決める。チームメイトはシンと共に少林拳の修行をした兄弟たち。今はそれぞれ別の仕事をしている兄弟たちは、それぞれの思惑は違えどもチームに合流。少林拳の技を応用して、オープン戦を着実に勝ち上がっていく。

 チベット密教の少年僧たちがサッカーに夢中になる『ザ・カップ/夢のアンテナ』という映画のパクリではないかと一時話題になった映画だが、どこをどう観ればこれがパクリに見えるのか疑問。大ヒット作には、やっかみ半分でいろいろな批判が寄せられるということか。この映画のコンセプトは「カンフー+サッカー」という点にあるのだが、カンフーといってもただのカンフーではない。『風雲/ストーム・ライダース』以降主流になったVFX満載のハデハデ対決が、サッカーのフィールドに持ち込まれてしまうのがこの映画なのだ。ボールは火を噴き、人は宙を飛び、ゴールポストは飴細工のようにねじ曲がる。どうも中国ではサッカーの上位チームになると何人かはこうした拳法の達人がいて、ボールを巡る一大空中戦を繰り広げるらしい。参りました。

 少林拳チームの破竹の勢いを阻むのは、現代科学の粋を集めて強化されたサイボーグ選手軍団。徹底した科学トレーニングと最新のドーピング技術を使い、全身の筋肉と運動神経を研ぎ澄ませた黒の軍団だ。少林拳チームが空を飛べば、サイボーグ軍団も空を飛ぶ。少林拳チームのボールが火を噴けば、サイボーグ軍団のボールも負けずに火を噴く。龍虎相打つ一大決戦。サッカー場は血みどろの戦場へと変貌する。いやはや大笑い。

 主人公たちの苦境を助けるのが『決戦・紫禁城』のヴィッキー・チャオなのだが、彼女の普段の姿がひどいブスで、普段は屋台で饅頭を売っているという設定は、名作『食神』のカレン・モクと同じ。しかしこの映画ではこのヒロインの心情に、『喜劇王』のセシリア・チャンが持っていた切なさをプラス。彼女がシンの前ではらはらと涙を流すシーンには、映画を観ているこちらまで思わず胸が詰まった。(ちなみにカレン・モクとセシリア・チャンは、本作にゲスト出演している。)

 最近は香港映画が全国公開される機会が少なくなっているが、この映画は松竹東急系で全国公開される。チャウ・シンチーの映画が全国区になるなんて、なんだか痛快。しかし僕がこの映画を観ながら思ったのは、同じ日に発表された「ドラゴンボール映画化」のニュースだった。『少林サッカー』が作れるなら、確かに「ドラゴンボール」だって技術的には作れてしまうんでしょうね。アイデアさえあれば、それを形にできる時代なのです。

(原題:少林足球 SHORIN SOCCER)

2002年5月公開予定 渋谷東急他・全国松竹東急系
配給:クロックワークス、ギャガ・ヒューマックス共同配給
問い合せ:クロックワークス、ドラゴンキッカー  宣伝:ドラゴンキッカー

(上映時間:1時間49分)

ホームページ:http://www.shorin-soccer.com/

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