バンド・オブ・ブラザース

2002/04/22 ソニービル・ネットワークシアター
スピルバーグとトム・ハンクスが製作した10時間に渡る戦争ドラマ。
全体の5分の1を観ただけでもスケール感に驚く。by K. Hattori

 第二次世界大戦で連合軍大反撃のきっかけとなったノルマンディ上陸作戦には、海からの上陸部隊の他に、上空からパラシュートで内陸部に降りた空挺部隊の存在があった。これは映画『史上最大の作戦』などを観ている人なら、当然知っている歴史の事実。海岸線のドイツ軍陣地は、海と陸から挟み撃ちにあったのだ。だが空からの敵のど真ん中に降りていくのは、大きな危険が伴う。歴史家のスティーヴン・アンブローズは、この危険だが意義のある作戦に参加したパラシュート部隊の生き残りにインタビューし、'91年に「バンド・オブ・ブラザース」という本を書き上げた。この本に目を付けたのが、映画『プライベート・ライアン』の監督・主演コンビ、スピルバーグとトム・ハンクスだった。ふたりはこの原作を、全10話からなるテレビシリーズとして製作することにした。総製作費は1億2千万ドル。出演している俳優たちの中に、天文学的なギャラを取る大スターは皆無だから、この製作費はまるまるそのまま原作の映像化に費やされたお金ということになる。完成した作品は、昨年のゴールデン・グローブ賞のTVドラマ&ミニシリーズ部門で、最優秀作品賞を受賞している。

 今回はマスコミ向けの試写ということで、全10話の中から第2話と第3話を再編集して1時間46分にまとめたものを観た。とにかく圧倒されるのは、「これがテレビドラマか!」という映像のボリューム感。そもそもテレビにした理由は「映画の2時間の尺では物語が収りきらない」ということだというから、映像面でのクオリティは映画とまったく変わらないのだ。映画の中には『プライベート・ライアン』で培ったノウハウがすべて注ぎ込まれていて、映像のタッチや全体のトーンもほぼ同じような感じだ。このシリーズを『プライベート・ライアン』のアナザー・ストーリーとして受け止めることもできるだろう。物語の主人公は101空挺師団第506連隊E中隊の面々だが、エピソードごとに異なる人物にスポットを当てて、軍隊の中の人間群像を描き出していこうという構成。これによって、作戦に参加したごく普通の兵士たちの姿が浮き彫りにされていく。

 原作はノンフィクションであり、映画もその原作を忠実に映像化することを心がけているようだ。(もちろん映画としての脚色もある。)現在も健在な元兵士たちのインタビュー映像から、その回のエピソードに入っていくという構成も、「これは実話の映像化です」という作品のコンセプトを明快にしている。今回はノルマンディ上陸作戦の話だったが、物語はその後部隊の移動に合わせて『遠すぎた橋』に描かれたマーケット・ガーデン作戦、『バルジ大作戦』に描かれたドイツ軍最後の抵抗バルジの戦いなどを経て、ダッハウのユダヤ人強制収容所、ヒトラーの山荘「イーグルズ・ネスト(鷹の巣)」へと続いていくらしい。つまりこのシリーズは、それだけで「ヨーロッパ戦線早わかり」なのだ。7月のWOWOWでの放送後には、ビデオやDVDも発売されると思う。

(原題:BAND OF BROTHERS)

2002年7月27日より放送開始 WOWOW
問い合せ:WOWOW番組広報課、トライアル

(上映時間:1時間46分)

ホームページ:http://www.wowow.co.jp/bob/

Amazon.co.jp アソシエイトDVD:バンド・オブ・ブラザース
サントラCD:バンド・オブ・ブラザース
原作:バンド・オブ・ブラザース/男たちの深い絆
原作洋書:Band of Brothers

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