銀杏のベッド

2002/04/25 シネカノン試写室
『シュリ』の監督・主演コンビが作った輪廻転生メロドラマ。
雰囲気はB級だなぁ。これが監督の持ち味か。by K. Hattori

 『シュリ』で日本に韓国映画ブームを作った立役者、カン・ジェギュ監督が'96年に製作したデビュー作。主演のハン・ソッキュは前年に映画デビューしており、本作のヒットで一躍スターになったのだという。共演は『ディナーの後に』のジン・ヒギョンと、『将軍の息子』シリーズのシン・ヒョンジュン。『グリーンフィッシュ』でもハン・ソッキュと共演したシム・ヘジンが、主人公の恋人役で出演している。なお韓国映画界空前のスケールで作られた時代劇ロマン大作『燃ゆる月』は、この映画の続編(というか姉妹編?)だ。

 画家のスヒョンは恋人のソニョンから「早く新しいベッドを買えばいいのに」と言われていた矢先、町の路地裏で大きな銀杏のベッドを見つけて拾ってくる。銀杏の大木から丸彫りされたベッドはひどく重く古びてもいたが、彼はこれをどうしても拾ってこずにいられなかったのだ。だがこの時から、スヒョンの身の回りでは次々と不思議なことが起き始める。夢の中に現れる美女。なぜかスヒョンの頭には、「ミダン」という彼女の名前までがくっきりと浮かんでくる。やがてアトリエに現れた謎の男に命を狙われたスヒョンは、夢の女ミダンに命を救われる。何がなんだかわからないまま、パニックを起こして街をさまようう彼はひとりの老人に出会う。そこでスヒョンは、自分が千年前の宮廷楽士ジョンムンの生まれ変わりであることを知る。幼馴染みのミダン姫と相思相愛の仲になったジョンムンだったが、姫の美しさに懸想した隣国のファン将軍が武力で彼女を誘拐。だがミダン姫はファン将軍の求婚に、決して応えようとはしなかった。ジョンムンは将軍の屋敷に忍び込んで姫を救出しようとして失敗。流刑地に追放されると、ミダン姫の目の前で将軍に殺された。愛し合うふたりは一対の銀杏の木に姿を変えて永く睦み合っていたが、ファン将軍の怨念は1羽の鷹に姿を変えて、ジョンムンの銀杏の木を落雷でうち倒した。これが今から170年前だという。

 どうにも話のスケールが大きくて面食らうのだが、用数するにこれは時空を超えた壮大な三角関係のドラマなのだ。愛し合う男女と、横恋慕する男。男は女を無理矢理我がものにしようとするが、女は決してそれに応えない。逆上した男は、彼女の恋人を殺してしまう。ところが三人はその後も輪廻転生を繰り返して、幾度も愛し合い、幾度も殺し合いを続けるのだ。ただしこの映画では、生まれ変わったカップルの片割れに別の恋人がいるという設定にひねりがある。ハン・ソッキュ演じるスヒョンは、運命の恋人ミダン姫と、現在の恋人ソニョンとの間で心を引き裂かれる。このあたりが現代流。

 映画の中には、サービス過剰で無駄な枝葉になっている部分が多い。ファン将軍復活のエピソードでも、レイプまがいのシーンは本来不要なはず。角膜移植云々というエピソードも未整理なまま、とりあえず病院長を黙らせてけりを付ける乱暴さ。でもスヒョンが最後に琴を奏でるラストシーンは、やはりウルウルっと来た。

(英題:GINGYO BED)

2002年初夏公開 シネ・アミューズ
配給:シネカノン、アミューズピクチャーズ 宣伝:シネカノン

(上映時間:1時間26分)

ホームページ:http://www.cqn.co.jp/

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