XEVIOUS
ゼビウス

2002/05/20 映画美学校第2試写室
往年の人気コンピュータゲーム「ゼビウス」を映画化。
CGのクオリティがお粗末。ゲームの名が泣く。by K. Hattori

 華麗なグラフィックスでかつて一世を風靡した人気ゲーム「ゼビウス」の映画版。ゼビウスはインベーダーゲームやギャラクシアンといったシューティングゲームの世界に、おそらく初めてストーリー性を持ち込んだものだと思う。登場したのは'83年というから、もう19年も前の話。僕はもともとゲームをそれほどやるわけではないのだが、友人がプレイしているゼビウスについては、ゲーム画面の美しさについつい見入ってしまうことがあった。このゲームはその世界観をモチーフにした小説版が登場するなど、ゲームを起点にしたメディアミックス展開が行われたという点でも画期的なものだったかもしれない。細野晴臣がこのゲームの音楽を素材に、アルバムを発表したりもしていたなぁ……。とにかく、ゼビウスは何から何まで型破りなゲームだったのです。

 コンピュータゲームの映画化ということもあり、今回の映画は全編フルCG。上映時間1時間15分という小規模な作品なのだが、このCGがいかにもショボイ。制作はゲームの発売元でもあるナムコなのだが、こんなものに天下の「ゼビウス」の名を冠してしまっていいのか? そもそも映画版には、ゼビウス生みの親である遠藤雅伸の名前がどこにも見当たらないしなぁ。僕はゼビウスというゲームに「華麗なグラフィックス!!」という強いイメージを持っていたので、この映画の貧乏くさいCGを観て悲しくなってしまった。今どきアマチュアのCG作家だって、もうちょっとましなCGアニメを作ると思うぞ。商業映画としては、ちょっとお粗末すぎる。

 一番アラが目立つのは、何と言っても登場する人間の表情や動きがあまりにもぎこちないこと。これなら昔のCG映画『スター・ファイター』('84年のニック・キャッスル監督作)みたいに、宇宙のシーンや戦闘シーンだけはCG処理にして、人間が出てくる場面は俳優を使った実写にした方が安上がりだし完成度も上がったのではないだろうか。人間をリアルにCGで描くことに関しては、やはりゲームの映画化作品『ファイナル・ファンタジー』という先行事例が存在する。『FF』のあとに同じように「有名ゲームのCG映画化でござい!」と登場させるのに、『XEVIOUS』のCGクオリティはあまりにも低すぎる。天と地。月とすっぽん。

 もちろん悪いのはCGだけじゃない。脚本にも問題が大ありだ。この映画に予算も時間もないことが最初からわかっているなら、せめて往年のゼビウス・ファンにとって「懐かしいなぁ」と思わせるような見せ方を工夫してほしかった。極端な話、ゼビウスのゲーム画面をそのまま大画面にしただけでもよかったと思うよ。もちろん劇場スクリーンで観るに耐えるだけの画素数を、新たに補ってやる必要はあるけどね。でもこの映画ではゲームから引き継いでいる戦闘シーンがごく短時間しかない。ゲーム風の演出にはなっているけれど、僕はこれを観ても「ゼビウス、懐かしいぞ!」と思う暇さえなかった。映画の狙いがまったくわからないデキでした。

2002年8月3日公開予定 テアトル池袋
配給:グルーヴコーポレーション 宣伝:ライスタウンカンパニー

(上映時間:1時間15分)

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