ミシュカ

2002/06/06 東京日仏学院エスパスイマージュ
ドライブ中に家族とはぐれた老人が旅の途中で出会う奇妙な人々。
エピソードがどれも舌足らずでわかりにくい。by K. Hattori

 バカンス先にドライブする途中、サービスエリアで家族とはぐれた老人が、警察に保護されてとりあえず老人ホームに収容され、そこで知り合った年配の職員に連れられて施設を飛び出し、気の弱いドイツ系の男や、父親を探すため家でした姉弟や、トレーラーハウス暮らしをしている若い女と知り合って、一緒に旅をすることになるのだけれど、そこでいろいろな事件が起きたりするなかで、最初はばらばらだった登場人物たちが疑似家族のようなつながりを持ち始めて、老人の家族の目的地だったキャンプ場で無事家族とも合流を果たし、姉弟も父親との再会を果たし、年配の男にも新たなロマンスが芽生え、ギスギスしていた映画は最後にホンワカとしたほのぼのムードで終わる……。なんだあらすじを書くだけでもダラダラしてしまうのだけれど、映画はこのあらすじの何十倍も何百倍もダラダラしていてとりとめがない。物語の焦点がわからず、何がやりたいのかもよくわからなかった。映画を観終ると一種の開放感や爽快感があるのだが、これは「ようやく映画が終った」という安堵感が半分混じっているのではないだろうか。

 何人かの登場人物がある場所から別の場所へと移動していく中で、人物相互の関係性が少しずつ変化していくというロードムービー形式の映画。ところがこの映画は、その道筋がよくわからない。そもそも登場する人物たちが、何を考えているのかまったくわからない。特に老人3人組は「こいつら頭がおかしいんじゃないの?」「完全にボケちゃってるのか?」と思わせるほど、デタラメな言動を繰り返す。一番ヤバイのはジェジェヌという老人ホームの職員の男。彼は施設に収容された老人をいきなり外に連れ出すし、離婚した妻が引き取った娘に会うために学校の前で待ち伏せするし、知り合いの車を盗むし、知り合った家出姉弟の姉に自分の娘の名前で呼びかけるし、突然わめいたり暴れたりする。ミシュカ老人は最初ぼけているのかとおもったら必ずしもそういうわけではないのだが、それでも一体全体何を考えているのやら。ナチスよばわりされるドイツ系の男も、小さな男の子を連れ出して、血まみれになるまで普通遊ぶか? この3人はちょっとヤバすぎる。

 物語が蛇行し、脱線している部分がもの凄く多くて、それが「なになに? 今のはいったい何?」と観ている側にパニックを起こさせてしまうことさえある。画面の外から爆発音が聞こえてくる場面なんて、一体全体そこで何が起きているのかさっぱりわからないまま物語が先に進んでしまう。ジェジェヌがホテルの部屋に取り残されてふてくされるシーンも、その前の部分がまったく省略されてしまっているから話のつながりがわからない。

 監督・脚本は映画にジェジェヌ役で出演しているジャン=フランソワ・ステヴナン。もともと俳優として数多くの映画に出演している人で、この映画は3本目の監督作になるのだという。出演者の中には、監督の家族が多くいるのだそうです。(例えば姉弟役は監督の子供。)

(原題:Mischka)

2002年6月23日上映 フランス映画祭横浜2002
配給:
未定
(2002年|1時間56分|フランス)

ホームページ:http://www.unifrance.jp/yokohama/

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