セレンディピティ

2002/07/29 アミューズピクチャーズ試写室
ジョン・キューザックとケイト・ベッキンセール主演のロマコメ。
偶然の出会いが本物の恋になるかは努力次第。by K. Hattori

 世界中に何十億人もいる人間の中から、たったひとりの相手に出会って恋に落ちる。どんな恋物語も、そんな何十億分の1の偶然から生まれるのだ。でも偶然だけで恋が成就するわけじゃない。恋が生まれるかもしれない偶然のチャンスなど、道を歩いていても、電車に乗っていても、店で買物していてもあふれている。でもそのチャンスが本物の恋に育っていくには、偶然以外の何かが必要なのです。それは運命かもしれないし、本人たちの努力かもしれない。

 クリスマスの買物で賑わうニューヨークで、ジョナサンとサラは出会う。互いに恋人へのプレゼントを探しているふたりは、売り場にひとつ残った手袋を譲り合っているうちに意気投合。近くのカフェで少しおしゃべりし、セントラルパークのスケート場で時間を過ごす。やがて別れの時。連絡先を教えてくれと言うジョナサンに、サラは「私たちが運命の恋人だとしたら、きっとどこかでまた偶然出会えるはずだ」と言う。(ああ、まったく世の中の女はなぜこうも運命というやつが好きなんだろう!)5ドル紙幣と本の見返しに書かれた互いの連絡先。ウォルドーフ・アストリアのエレベーター。運命の恋人だったかもしれないふたりは大都会ニューヨークのど真ん中ですれ違い、そのまま数年が過ぎていく。ジョナサンはニューヨーク、サラはサンフランシスコでそれぞれ婚約し、結婚式も迫ってくる。だがその時ふたりの頭にこびりついて離れないのは、何年も前にたった数時間を共に過ごした相手のことだった……。

 主演はジョン・キューザックとケイト・ベッキンセール。この映画のベッキンセールはすごくよかった。『金色の嘘』やこの映画の彼女を観ると、『パール・ハーバー』の彼女がいかにひどかったのかがよくわかる。この人はごてごて化粧すると、生地のままの魅力がまる消えてしまう人なのね。戦争映画のような思い切りドラマチックな役より、日常性のシッポをどこかに引きずっている方が似合うように思える。今回の役はとてもチャーミングだと思うものの、では彼女がこれからメグ・ライアンのお株を奪って「ロマコメの女王」になれるかというと、それはちょっと違うような気がする。日常から非日常にぽんとジャンプした時、このキャラクターはちょっと持たないように思えるのだ。メグ・ライアンが持っているような華やかさがないので、大きな映画には似合わない。もっとも女優はカメラの前に立ち続けることで磨かれるので、今後どうなるかはわからないけれどね。今後に期待しましょう。

 監督のピーター・チェルソムは『マイ・フレンド・メモリー』のような感動作から、『フォルテ』のような洒落たラブコメまで撮れる人。今回の映画も緩急自在の演出で、大いに笑わせ、時にホロリとさせてくれる。上手いなぁ。デパートの店員役で『アメリカン・パイ』のユージン・レヴィが登場。この人も大いに笑わせてくれます。

(原題:Serendipity)

2002年秋公開予定 みゆき座他・全国東宝洋画系
配給:アミューズピクチャーズ 宣伝:マンハッタン・ピープル
(2001年|1時間31分|アメリカ)

ホームページ:http://www.amuse-pictures.com/

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