火山高

2002/11/27 アミューズピクチャーズ試写室
一巻の秘伝書を巡って火花を散らす教師と生徒たちのスーパー・バトル。
もうこれはナンセンス・ギャグの世界に突入している。by K. Hattori

 韓国で昨年12月に公開された話題作。教師と生徒が一巻の秘伝書「師備忘録」を巡って戦いを繰り広げるという、SFXやVFX満載のスーパー・バトル・バイオレンス・アクション・コリアン・ムービー。なんだかカタカナばかりずらずら並べたが、この映画にはこうした空虚なカタカナがよく似合う……。

 要するに韓国だか日本だかのどこかに火山高という高校があって、そこでは温厚なチャン・オジャ校長と文武両道のナンバー1生徒ソン・ハンニムを頂点とするピラミッド型の秩序が成り立っていた。ところが校長が持つ秘伝書・師備忘録を我がものと狙う教頭は策略を弄し、万年ナンバー2の屈辱に甘んじていたチャン・リャンと組んで校長勢力の追い落としを計画する。校長に毒を盛って人事不省に陥らせ、ナンバー1生徒のハンニムをその容疑者として拘束する。こうして秩序の基盤を失った学校は、腕に自慢の生徒や教師が覇権を争う戦国乱世状態に叩き込まれる。教頭は早々に教師陣の地位を固め、生徒側もナンバー2のチャン・リャンを頂点にまとまるかに思えたのだが、そこに立ちふさがったのが剣道部主将の美少女ユ・チェイと、自らのスーパー・パワーを封印する金髪の転校生キム・ギョンスだった。

 ワイヤーアクションやCGIを使って、次々に登場するスーパー・アクションの数々。生徒たちは全員が武道の達人。彼らが学校の廊下を歩くだけで、パワーに共鳴した建物がビリビリと振動し、その凄まじい気の力で空間がぐにゃりと歪む。教師がチョークを投げればその勢いは大砲の弾丸のように人間を吹き飛ばし、体からほとばしる気の流れで人間は空を飛び、気と気のぶつかり合いは嵐を呼ぶ。要するに『マトリックス』と『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズに『風雲/ストームライダース』を掛け合わせたようなアクションシーンが、ごく普通の高校の木造校舎の中で延々繰り広げられると考えればいい。見どころはそのアクションシーンだけだ。

 物語自体はひどくアナクロな学園もので、温厚な校長と文武両道の生徒会長が教頭のはかりごとで失脚するが、転校生である主人公がふたりの遺志(死んでないけどね)を継いで学校をとりまとめ、最後は校長も復帰してめでたしめでたしという話。それに山のように、過剰に、必要以上に、アクションシーンを盛り込むとこうなる。そのアクションの洪水は、物語の骨組み自体をぶち壊してしまうほどだ。映画を観ていると、「なんでこんな風になっちゃうのかなぁ」という疑問がいつも頭をよぎる。一応物語としての必然性はあるようなのだが、アクションシーンがその必然を越えて大げさなのです。

 全体にゲーム感覚。話の筋より映像優先。僕は字幕版を観たが、これは同時に公開される日本語吹替え版をボーッと観ている方がいいかもしれない。(韓国映画が日本語吹替え公開とは珍しい。)

(原題:火山高 VOLCANO HIGH)

2002年12月公開予定 渋谷東急3他・全国松竹東急系
配給:アミューズピクチャーズ
(2001年|1時間48分|韓国)
ホームページ:http://www.kazanko.com/

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