Mr. ディーズ

2002/12/17 ソニー・ピクチャーズ試写室
フランク・キャプラの『オペラハット』をアダム・サンドラー主演でリメイク。
400億ドルの遺産を相続した青年と女性記者の恋。by K. Hattori

 クラレンス・バディントン・ケランドの短編小説をもとにした、アダム・サンドラー主演のコメディ映画。同じ原作は1936年にフランク・キャプラが『オペラハット』という映画にしていて、今回の映画はいわばそのリメイクということになる。ところでヒロインを演じたウィノナ・ライダーが、この映画の役作りのためにデパートで万引きしたって本当ですかねぇ……。

 世界的なメディア企業ブレイク社のオーナー社長が急死した。遺産相続人として白羽の矢が立ったのは、ニューハンプシャーの田舎町でピザ屋を経営しているロングフェロー・ディーズという青年。相続財産は同社の株ざっと400億ドル分(5兆円以上!)だ。だがブレイク社の重役たちはこの無名の青年が同社の経営に口を出すことを望まず、彼が相続する株券を買い上げるためニューヨークに呼び出す。史上最高額の遺産相続人となったディーズは、どこでもマスコミの注目の的だった。テレビ番組のレポーターとして特ダネを追うベイブ・ベネットは、ディーズの人の良さに付け込み、街頭で暴漢に襲われた振りをして彼に接近する。隠しカメラを使って特ダネを連発するベイブ。だがディーズはそんな彼女を少しも疑わず、彼女に愛の告白さえするのだった……。

 アダム・サンドラーの主演映画としては、『ウエディング・シンガー』以来久しぶりによくできた映画。『ウォーターボーイ』『ビッグ・ダディ』『リトル・ニッキー』などはお世辞にも人に勧められる作品ではなかったけれど、これは自信を持って人に勧められる映画になっている。出演者も豪華だ。ヒロインのベイブを演じたウィノナ・ライダーをはじめ、ブレイク社の重役を演じたピーター・ギャラガー、ブレイク氏の忠実な執事を演じたジョン・タトゥーロ、そして個性派スティーブ・ブシェミも顔を見せる。ゲストとしてジョン・マッケンローが本人役で出演してるけど、さすがに老けたなぁ……。

 サンドラーは「善良だがオツムの弱い好青年」という役を演じることを得意としているようなのだが、今回の主人公は別に知能が劣っているわけではない。性格があまりにも善良すぎて、世間一般の基準からはバカに見えてしまうだけなのだ。400億ドルという目もくらむような大金を前にして、ディーズはまったく普段と態度が変わらない。郷里の田舎町で人々に親切に振る舞うように、ディーズは大都会ニューヨークでも人々に善意を振りまいていく。いつもニコニコ笑っている彼は、弱虫でも臆病者でもない。不正や無礼には毅然と立ち向かう正義漢であり、いざとなれば腕力にものを言わせるガッツも持っている。この自然体ぶりが、じつに好ましく、頼もしくも見えてくるのだ。

 映画としてはジョン・タトゥーロがいかにもイワクくありげで、ちょっとうっとうしいかもしれない。ピーター・ギャラガーは素晴らしくよかった。ラストシーンもバカバカしくて楽しい。

(原題:MR. DEEDS)

2003年2月15日公開予定 ニュー東宝シネマ他・全国東宝洋画系
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
(2002年|1時間36分|アメリカ)
ホームページ:http://www.mrdeeds.jp/

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