シカゴ

2003/02/24 イマジカ第1試写室
ボブ・フォッシーのミュージカルをロブ・マーシャルが映画化。
極上のショウを見せられた気分に大満足! by K. Hattori

 1975年に初演されたボブ・フォッシーのブロードウェイ・ミュージカルを、同じフォッシー作の「キャバレー」の演出や、テレビ版「アニー」の監督として高く評価されていたロブ・マーシャルが映画化。(ただし映画のもとになったのは'97年の再演版だという。)主演はレニー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、リチャード・ギアなど。ミュージカル映画は吹替えが常識化しているが、この映画では出演者たちがそれぞれ自分で歌って踊っているようだ。冒頭のゼタ・ジョーンズの歌と踊りにいきなりノックアウトされ、リチャード・ギアのタップダンスに目をまん丸にすること請け合い。このふたりに比べるとゼルウィガーが少し弱いようにも思うけれど、その分を出番の多さと演技力で十分にカバーしているように思う。

 物語の舞台は1920年代のイリノイ州シカゴ。不倫相手を射殺した罪で逮捕されたロキシー・ハートは、敏腕弁護士のビリー・フリンを雇ってセンセーショナルな法廷戦術に打って出る。新聞を使って「美人妻の不倫殺人」を大きく書き立て、ロキシーを時代の寵児にしてしまう。ロキシーは刑務所にいながら、シカゴ中の人気者になってしまうのだ。裁判は注目を集め、ロキシーやビリーの一挙手一投足にシカゴ中が一喜一憂。かくして裁判はロキシーに有利に運ぶかに思えたのだが……。この物語は、もともと実話だという。

 「5・6・7・8!」というカウントから始まる威勢のいい音楽。楽屋口からナイトクラブに飛び込んでくる女。やがて始まるステージ。スポットライトを浴びたヴェルマがパワフルに「オール・ザット・ジャズ」を歌い始めると、ステージ下からロキシーがそれを見つめている。この導入部は猛烈にかっこいい。しかしロキシーが不倫相手を射殺したあたりから、観ている側は少しばかり混乱することになる。ロキシーの心象風景がステージ風の演出で描かれるため、リアルなアパートの描写ときらびやかなステージ風景がちょっとチグハグになってしまうのだ。この後の数曲は、正直言って戸惑いの連続。しかしリチャード・ギアが腹話術師に扮してロキシーを操るナンバーあたりから、映画はストーリーと音楽シーンがガッチリと噛み合ってくる。

 法廷で演じられる茶番劇をミュージカル化することで、大真面目な法廷シーンを文字通りオチャラケた乱痴気騒ぎにしてしまうという面白さ。シリアスなストーリーと乱痴気騒ぎが交互に現れる様子は、ボブ・フォッシーが監督した『キャバレー』や『オール・ザット・ジャズ』に似た雰囲気。これは原作がフォッシーだからという以上に、ロブ・マーシャル監督がフォッシーのスタイルを相当意識しているのではないだろうか。

 '最初から最後まで、圧倒的な歌と踊りの迫力に満足できる映画。ストーリーより、出演者たちの芸を楽しむ映画。じつに満足できる仕上がりでした。

(原題:Chicago)

2003年4月19日公開予定 丸の内プラゼール他・全国松竹東急系
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給
(2002年|1時間53分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.chicago-jp.com/

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DVD:シカゴ
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