ネメシス
S.T.X

2003/03/14 UIP試写室
連邦に和平を求めるロミュラス帝国の政務官シンゾンの目的は何か?
これにて映画版「新スタートレック」は完結する予定だ。by K. Hattori

 アメリカで'87年から'94年にかけて放送された「新スタートレック」シリーズは、劇場版の長編映画がこれまでに3本作られている。テレビ放送終了後も映画だけは作られているのだが、これは'66年から'69年の放送後に6本の映画が作られたオリジナルシリーズと同じだ。しかし'94年の『ジェネレーションズ』から始まった「新スタートレック」の劇場版も、4本目となる本作でいよいよ完結するようだ。

 ライカー副長とトロイが結婚し、U.S.S.タイタン号の新艦長として転属することになった。ピカードは新婚夫婦をトロイの故郷ベタゾイド星に運ぶため、エンタープライズ号の指揮を執る。だがその旅の途中、辺境の惑星から異様な電磁気信号をキャッチ。上陸して調べてみると、発信源はバラバラに解体され放棄された、データ少佐と同タイプのアンドロイドだった。間もなくエンタープライズ号には緊急任務の連絡が入る。長年にわたって惑星連邦と敵対関係にあったロミュラン帝国が、連邦と和平協定を結ぼうと接触してきたのだ。帝国側の代表者はシンゾンという法務官。彼は若い頃のピカードに瓜二つだった。

 これまでも数々の敵と戦ってきたピカード艦長にとって、最大の敵となるのは「自分自身の影」だったという話。若き日のピカード(クローン人間)であるシンゾンを演じるのは、「バンド・オブ・ブラザース」や『ブラックホーク・ダウン』に出演していたトム・ハーディー。パトリック・スチュアートに風貌が似るように、鼻とあごに特殊メイクをしているそうだ。なるほど、これは似ているかもしれない。しかし特殊メイクで別人に化けたのは、醜怪なレムス人を演じたロン・パールマンかもしれない。これはもう、誰が誰だかさっぱりわかりません。

 映画前半の同窓会的な雰囲気や、政治的駆け引き、目に見えぬ陰謀といった部分は、あまり面白味がないと思う。会話シーンばかりが続いて、映画としての見せ場に乏しいのだ。しかし映画も後半に入っていよいよエンタープライズ号とシンゾンの巨大戦艦が戦闘を開始すると、ドラマはようやく面白くなってくる。偽装シールドで完全に周囲の空間に溶け込んだ巨大戦艦シミターが、エンタープライズ号のすぐ近くに迫る。敵からは丸見えなのに、見えない敵に対して有効な反撃の手段を持てないエンタープライズ号。防御シールドも繰り返される攻撃に耐え切れない。その時ピカードたちの目の前に現れたのは……、という展開にワクワクドキドキ。

 ロミュラン帝国の母星がロミュラスとレムスという二連惑星だという設定は、ローマ帝国がロムルスとレムスの兄弟によって建てられたという伝説のもじりだろう。しかし僕はそれよりこの映画に、「宇宙戦艦ヤマト」の匂いを感じてしまう。ガミラスとイスカンダルも二連惑星だったなぁ……。シンゾンはさしずめデスラー総統ですな。

(原題:STAR TREK: NEMESIS)

2003年4月12日公開予定 日々や映画他・全国東宝洋画系
配給:UIP
(2002年|1時間57分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.uipjapan.com/nemesis/

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