トゥー・ウィークス・ノーティス

2003/03/17 ワーナー試写室
気の強い女性弁護士と優柔不断な大富豪の恋を描いたコメディ。
主演はサンドラ・ブロックとヒュー・グラント。by K. Hattori

 女性弁護士のルーシー・ケルソンはハーバード出身というキャリアにもかかわらず、高給が望める一流弁護士事務所で働くより、地域のために自分の力を生かそうと考えている熱血派。彼女が今一番力を入れているのは、再開発で取り壊しの危機にあるニューヨークの古い建物を残す運動だ。この運動でいつも彼女の前に立ちふさがるのは、大手不動産開発会社のウェイド社だった。地元の公民館を残してもらおうと、彼女はウェイド社の経営者ジョージに直談判を申し込む。彼はルーシーが自分の弁護士になることを条件に公民館の保存を約束するが、彼は法律問題だけではない私生活についてまで、あれこれルーシーに相談するようになるのだ。1年とたたぬうちにルーシーはジョージに愛想をつかし、彼に会社を辞めたいと告げるのだが……。

 サンドラ・ブロックとヒュー・グラント主演のラブ・コメディ。美人で頭はいいが気の強い女と、ハンサムでお金持ちだが優柔不断な男の恋物語は、古今ラブ・コメディの定番設定。この映画はまさにそのど真ん中剛速球を投げ込んでくる。出世作『スピード』以来、気の強い女を演じさせればナンバーワンのブロックと、『ノッティングヒルの恋人』や『アバウト・ア・ボーイ』などで優柔不断なダメ男ぶりに磨きをかけているグラントは、このお話にまさに打ってつけの配役と言えるだろう。

 最近安定した活躍をしているヒュー・グラントに比べ、作品ごとのバラツキが激しいサンドラ・ブロック。『デンジャラス・ビューティ』は面白かったけれど、『ガンシャイ』や『完全犯罪クラブ』はイマイチだった。今回の映画は『デンジャラス〜』以来、久しぶりに彼女のキャラクターのつぼにはまった作品だと思う。この映画は製作も彼女自身。この調子で、面白い映画をたくさん作ってほしいのだけれど……。

 互いに異性として意識していなかった男女が、いつの間にか相手を好きになっていて……というお決まりの話ではあるけれど、盛り込まれているエピソードの面白さでついつい最後まで見せられてしまう。渋滞の道路でキャンピングカーに飛び込むシーンは最高。キャラクターの個性描写も秀逸で、ヒロインのルーシーが中華料理店に大量の出前を注文する(しかも番号で)姿が印象的だった。

 ヒロインがニューヨークの古い建物を守る運動に熱心だという設定も含めて、この映画のベースには「ニューヨーク讃歌」の気持ちがあふれている。さびれきったコニーアイランドがこれほど魅力的に描かれている映画は珍しいし、主人公たちがヘリコプターでマンハッタン上空を飛ぶシーンも素晴らしい。ふたりはクライスラービルやエンパイアステートビルの上を飛んでそれらのビルにまつわる話をするのだが、こうしたところにテロ後のアメリカやニューヨークの姿がどうしても感じられてしまう。言葉の背後にある喪失感が嫌でも感じられて、ちょっと痛ましく思えました。

(原題:Two Weeks Notice)

2003年5月下旬公開予定 丸の内ピカデリー1他・全国松竹東急系
配給:ワーナー・ブラザース映画
(2002年|1時間41分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.warnerbros.co.jp/

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