デッドコースター

2003/06/10 GAGA試写室
大事故を逃れた人々に死を運ぶ「死神」に抗うすべはあるのか?
『ファイナル・デスティネーション』の続編。by K. Hattori

 不思議な予知夢のおかげで飛行機事故を逃れた高校生たちが、「死ぬはずだった運命」を逃れることができないまま次々に死んでいくというホラー映画『ファイナル・デスティネーション』の続編。原題はシンプルに『Final Destination 2』だが、邦題はひとひねりして『デッドコースター』になっている。日本での配給会社も前作と同じなのに、なんでわざわざ邦題を変える必要があるのかよくわからないが、おそらく前作がそれほどヒットしていないので、今回は興行面で仕切りなおしをしたいということかもしれない。もちろん遊園地が舞台の映画ではない。インパクトの強いショックシーンの連続で観客に悲鳴を上げさせる、映像版「絶叫マシーン」という意味合いだろうか……。

 話は前作とつながりがあり、登場人物の一部も重なり合っているし、物語も前作を踏まえた設定が随所にあったりする。前作『ファイナル・デスティネーション』を観ておいたほうが、今回の映画の筋や設定を飲み込みやすいと思う。しかしこのシリーズは前作もそうだったように、売りはストーリーの面白さではないのだ。特殊メイクやデジタル技術を使って、登場人物の「残酷な死」をいかにリアルに見せるかというのが映画のポイント。前回の映画もむごたらしい死のオンパレードだったが、今回もかなりのシロモノだ。

 物語はハイウェイでの派手な玉突き事故から始まる。丸太を満載したトレーラーの荷が崩れ、高速走行中の後続車に激突。さらに路上にこぼれ落ちた丸太に、次々と後続車が激突していく。だがこれは、ヒロインのキンバリーが見た白日夢だった。間もなく自分は事故に巻き込まれる! そう直感したキンバリーは、自分の運転する車で高速道路の入口をふさぎ後続車の進入を阻止。その目の前で、本来なら彼らが巻き込まれるはずの事故は起きた……。九死に一生を得た人々。だが彼らは、自分を付けねらう「死の運命」から逃れられない運命だった。

 監督のデヴィッド・エリスは『マトリックス・リローデッド』でカーチェイスシーンを手がけた人物で、スタントマンやスタントコーディネーター、セカンドユニットの監督として映画界で30年以上のキャリアを持っているのだという。この玉突き事故シーンは、MTVムービーアワードのベスト・アクション・シークエンス賞の候補になっている。

 思いもかけない死が登場人物に降りかかるアイデアは、1作目以上に手が込んでいてハラハラさせられる。ただしこれらの残酷シーンはトリッキーなものになりすぎていて、血なまぐさい惨劇にドキリとさせる以前に、「そんな手があったか!」「今度はこの手で来たか!」という感心の方が先に立ってしまう。「そろそろ来るぞ!」と観客が身構えているタイミングからワンテンポかツーテンポずらし、奇想天外なショックシーンを見せてくれる上手さ。こういう映画、大好きです!

(原題:Final Destination 2)

夏公開予定 渋谷東急他・全国松竹東急系
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給 協力:エスピーオー
(2003年|1時間30分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.deadcoaster.com/

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DVD:デッドコースター
前作DVD:ファイナル・デスティネーション
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