ブロンド・ライフ

2003/06/13 メディアボックス試写室
1週間後の死を宣告されたローカル局リポーターの運命は?
アンジェリーナ・ジョリー主演のラブコメディ。by K. Hattori

 シアトルのローカルテレビ局でリポーターの仕事をしているレイニー・ケリガンは、仕事も私生活も順風満帆の充実した人生を送っていた。だが彼女の最終目標は、全国ネットのキー局でテレビ・キャスターになること。彼女の気持ちを知ってか知らずか、上司が系列キー局のリポーター候補として、レイニーを推薦してくれることになった。全国から集まる候補者の中から選抜されるには、これから何週間かの間にそれなりの実績を積まなければならない。上司はレイニーに、カメラマンのピートと組むように命令。ふたりは社内で誰もが知る「犬猿の仲」だが、かつてはニューヨークで仕事をしていたこともあるというピートの実績を頼んでの新コンビだった。だがピートの仕事の初日、「街角の予言者」を自称するホームレスのジャックを取材したレイニーは、彼から「君は来週の木曜日には死ぬだろう」と宣告されてしまう……。

 主人公のレイニー役にアンジェリーナ・ジョリー。犬猿の仲の相棒ピートにエドワード・バーンズ。『リーマン・ジョー!』の脚本家ジョン・スコット・シェパードの原案・脚本(ダナ・スティーヴンスが共同脚本)を、『陽のあたる教室』『101』『ロック・スター』のスティーヴン・ヘレク監督が映画化している。

 「死を宣告されたとき、人間はどう生きるか?」という古典的なテーマの映画だが、この映画は主人公ふたりの関係が少し曖昧で、いささか切れ味の鈍い物語になってしまったと思う。同じ社内でなぜレイニーとピーとは仲が悪いのか? ふたりにいったい、どんな過去があるというのか? 映画はそのあたりを、最初にきちんと説明してくれない。ふたりの過去に何がしかのことがあったであろうことは想像できるのだが、それがどんなことなのかがわからない。映画の後半でそれは説明されるのだが、これは映画の序盤で観客に提示しておくべき情報だと思う。でないとピートの友人が後半で語るキャンデーのたとえ話が生きてこない。

 社会的な野心と身近な幸福の葛藤。好きな人の前で素直になれない気持ち。家庭内での愛情のすれ違い。離婚と子育て。映画の中にはいろいろなエピソードが散りばめられているのだが、こうした物語の枝葉の部分が目立つわりには、レイニーとピートの物語という本筋が弱い。いよいよ予言が的中するかという映画終盤のクライマックスでサスペンスが盛り上がらないのは、予告された死までのタイムリミットというロジカルな部分で、脚本に詰めの甘さがあるからかもしれない。

 エドワード・バーンズはなかなかのはまり役だと思うが、この映画にアンジェリーナ・ジョリーはミスキャストかもなぁ……という思いもある。もう少し庶民的な雰囲気を持つ、例えばリース・ウィザースプーンあたりが主演だと、映画にピタリとはまったと思うのだけれど。アンジェリーナ・ジョリーは、本当に性悪そうに見えるんだよなぁ。

(原題:Life or something like it)

7月26日公開予定 銀座シネパトス、新宿ジョイシネマ
配給:20世紀フォックス
宣伝:メディアボックス
(2002年|1時間44分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.foxjapan.com/movies/blondelife/

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