ロッカーズ
ROCKERS

2003/07/08 GAGA試写室
陣内孝則が自分自身の青春時代を映画化した青春音楽映画。
演奏シーンは本物の迫力で見ごたえ十分だ。by K. Hattori

 俳優の陣内孝則の長編映画初監督作。彼は2年前に短編オムニバス映画『東京★ざんすっ』の1エピソード『ランニング・フリー』を監督しているのだが、今回はそれに続く本格的な監督作品となった。映画の原案も陣内孝則本人になっているが、彼が書いた自伝風小説「アメイジング・グレース」をベースにした映画であることは間違いない。陣内監督がかつて所属していた人気バンド「Th eRockers」が地元博多で人気バンドに成長してプロデビューするまでの物語に、ボーカリスト陣内孝則とギタリスト谷信雄の友情をからめた青春音楽映画だ。

 主人公のジンを演じるのは中村俊介。タニを演じるのは玉木宏。他のバンドメンバーを、岡田義徳、佐藤隆太、塚本高史が演じ、タニの恋人役には上原美佐、ライバルバンドのボーカルに玉山鉄二という若々しい顔ぶれ。監督を応援するように、ゲスト出演として麻生祐未、大杉漣、小泉今日子、佐藤浩市、鈴木京香、中井貴一、白竜、モト冬樹といった人々も出演している。演奏シーンはザ・ロッカーズのオリジナル音源を使わず、新たに録音したカバーバージョンを使用。ボーカルは自身が歌手でもある中村俊介が担当しているが、演奏には「Th eRockers」と同時期に博多からメジャーデビューしたルースターズのメンバーたちによる新バンド「ROCK'N'ROLL GYPSIES」が参加。サウンド面でも陣内監督の思い入れとこだわりが感じられるものになっている。

 僕は「Th eRockers」のファンではないし、小説「アメイジング・グレース」を読んでいないので、映画がどの程度事実に即したもので、どの程度がフィクションなのかはわからない。ギタリストの谷信雄が深刻な目の病気だったとか、手術直後にライブ会場に現れて優勝したという話も、どこまでが本当だったのか……。しかしこの映画は、そうした「本当の話」などどうでもいいのだと思う。この映画に込められているのは「こうした事実があった」という情報ではなく、「俺たちはこういう気持ちでロックしてたんだぜ!」「タニっていうスゴイ奴がいたんだぜ!」という陣内監督の思いなのだ。だからこの映画には、辻褄の合わないところがたくさんある。映画冒頭に思わせぶりに出てきた少年が、映画のラストには登場しないというのも奇妙だし、時代考証などもかなりアバウトになっている。でもこれはこれでいいのです。気分さえ伝わればそれで……。

 喫茶店のマスターが歌う「恋の確定申告」とか、ジンのファンだという少女がメガネをはずすとスゴイ美人とか、あちこちに挿入されるギャグはかなりベタベタで馬鹿っぽい。しかしこの馬鹿っぽさが、映画の中盤以降はクセになってくる。そして何よりも、演奏シーンのスピード感やグルーヴ感が最高。アマチュアコンテストの演奏シーンは映画の中でも最高潮の盛り上がりで、この余韻だけでラストまで15分を持たせてしまう。

秋公開予定 シネリーブル池袋、ヴァージン六本木・他全国
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:ギャガ・コミュニケーションズ、ムービーアイ・エンタテインメント
(2003年|1時間58分|日本)
ホームページ:
http://www.gaga.ne.jp/rockers/

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