仮面ライダー555/パラダイス・ロスト
爆竜戦隊アバレンジャー

2003/08/12 東映第1試写室
人気テレビ番組の劇場版。今回の「仮面ライダー」は映画だけでもわかる。
「仮面ライダー」の暗さと「アバレンジャー」の明るさが好対照。by K. Hattori

 休日の朝であるにもかかわらず、全国の子供とお母さんたちを(ひょっとすると)平日以上に早起きさせてしまうという人気番組「仮面ライダー555〈ファイズ〉」と「爆竜戦隊アバレンジャー」の映画版。このシリーズは毎年かなりの集客がある人気番組だそうで、今年の東映は「アニメフェア」をやめても「仮面ライダー」と「戦隊」の2本立ては残している。人気の秘密としてイケメンの若手男優たちが多く出演していることがよく知られているけれど(最近じゃ「仮面ライダー」が若手男優の登竜門として定着してます)、お話のほうもそれなりに練られていて面白いし、映画版ならではのスケール感で観客を楽しませようという工夫もされていると思う。

 昨年の『仮面ライダー龍騎/EPISODE FINAL』はテレビ版を観ていない人にはちょっと付いて行けない内容だったが、今回の『仮面ライダー555/パラダイス・ロスト』はテレビ版から少し距離を置いたオリジナルストーリーになっているのだとか。もちろんテレビ版の視聴者には、テレビと映画の差異を楽しみながら世界をより深く知るという楽しみもあるだろう。出演者はテレビ版とほぼ同じだが、スマートブレイン社が作った2本の「帝王のベルト」のうち1本を装着する新しい仮面ライダー役で『T.R.Y.』のピーター・ホーが出演したり、記憶を失った主人公をかくまう謎めいた少女役で黒川芽以が出演している。

 ただし物語はすごく暗い。昨年の『EPISODE FINAL』も仮面ライダー同士が最後のひとりになるまで殺し合うという殺伐とした話だったけれど、今回も「人類に救いなし」という出口のない暗澹とした結末が用意されている。こうした暗さがある種の悲壮美として、主人公たちの姿をより輝かせている。それにそもそも、最初の仮面ライダー1号時代から「仮面ライダー」というのは暗い話だった。最近の暗い「仮面ライダー」というのは、石ノ森章太郎の世界観の延長上にあるものかもしれない。最近ではこの暗さが、むしろ新鮮に感じられるのかもしれない。

 同時上映の『爆竜戦隊アバレンジャー』はテレビ版の番外編で、こちらはカラリと明るくて楽しい内容。この2本が続くのは日曜日の朝と同じ構成で(映画版もテレビと同じで『アバレンジャー』の方が上映は先になる)、明朗快活な体育会系ノリの『アバレンジャー』と、暗くてジメジメした『仮面ライダー』の極端な組み合わせは、それなりに戦略として考えられているものなのだろう。

 戦隊シリーズは時代劇の御存じものと同じで、最後のクライマックスでいつも通りのキメポーズがぴたりと決まればそれでOK!という世界。この映画版もそのあたりは心得ていて、最後のまとめはバッチリです。合体メカが単なる巨大兵器やロボットではなく、意思を持つ生物だというのが『アバレンジャー』の新しさ。ヒーローとメカが力をあわせて敵を倒す姿は痛快。

8月16日公開予定 丸の内東映他、全国東映系ロードショー
配給:東映
(2003年|1時間50分|日本)
ホームページ:
http://www.rider555.jp/
ホームページ:
http://www.abare.jp/

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