釣りバカ日誌14
お遍路大パニック

2003/08/15 松竹試写室
営業三課の佐々木課長が次長に昇進して切れ者の新課長が登場。
全編が歌で埋め尽くされて、まるでミュージカル映画。by K. Hattori

 西田敏行と三國連太郎のコンビで、松竹の定番シリーズとなっている『釣りバカ日誌』の最新作。タイトルは『釣りバカ日誌14』になっているが、途中にスペシャル版が2本あるので実質的にはシリーズ16作目になる。監督は今回がシリーズ初登場の朝原雄三。三宅裕司主演で3本作られた『サラリーマン専科』シリーズの監督だ。『サラリーマン専科』が松竹のレギュラー番組として定着できなかったのは残念だが、今回はその主演俳優だった三宅裕司をゲストに招いていて、『釣りバカ日誌』と『サラリーマン専科』が合流したような映画になっている。

 マドンナ役は高島礼子。女性トラック運転手の子供がひきこもりという設定は、本作の脚本を書いた山田洋次監督の『十五才/学校IV』からの流用。『釣りバカ日誌』シリーズは、山田作品の二番煎じみたいなものが多いのだ。この映画の場合、ヒロインがトラック運転手である必然性も、子供がひきこもりである必然性もまるでないわけで、なぜこうしていちいち同じような設定を使いまわすのかがよくわからない。(山田監督が取材過程で出会った人々に惚れこんでしまい、何度も作品に登場させたいということなのかもしれないけれど……。)

 今回の映画はこれまでのシリーズとずいぶん様子が違う。ハマちゃんスーさんのコンビが釣りをしない。谷敬演ずる佐々木課長が次長に昇進して、営業三課には新課長がやってくる。他にも細かな変更点がいろいろあるのだが、シリーズの基本線が「ハマちゃん&スーさん」の釣りコンビと「浜崎×佐々木」の営業三課バトルだったことを考えると、三國連太郎と谷敬の大幅後退は相当大きな路線変化だと思う。こうした変化を余儀なくされている理由は、俳優達の高齢化問題だろう。三國連太郎は80歳。谷敬も71歳。おそらくそう遠くないうちに、このふたりは俳優が交代すると思う。『釣りバカ日誌』ではシリーズ7作目の『釣りバカ日誌スペシャル』までみち子さんを演じていた石田えりが、『釣りバカ日誌7』から浅田美代子に交代した例もある。寅さんシリーズに比べると、『釣りバカ日誌』はキャラクターと俳優の結合がゆるいのだ。

 とはいえこの映画の魅力が、「ハマちゃん&スーさん」と「浜崎×佐々木」にあることは変わりない。今回の映画でも最大の爆笑ポイントは、高知の旅におけるハマちゃんとスーさんのドタバタであり、営業三課における大乱闘であることからもそれは明らかだろう。このあたりは息のあったレギュラーメンバーだからこその味で、同じことを他の人がやってもあまり面白くないと思う。

 それにしても今回は全編に歌と踊りが散りばめられたミュージカル調で、じつに楽しい映画に仕上がっていると思う。ストーリーにこれといった面白さはないが、各シークエンスごとにきちんと笑わせてくれるのがいい。ワンシーン出演の仁鶴も、みょうにおかしかったなぁ。

9月20日公開予定 全国松竹系
配給:松竹
(2003年|1時間56分|日本)
ホームページ:
http://www.tsuribaka-movie.jp/

DVD:釣りバカ日誌14/お遍路大パニック!
関連DVD:釣りバカ日誌シリーズ
原作:釣りバカ日誌
主題歌CD:とりあえずは元気で行こうぜ(西田敏行)
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