ミッション・クレオパトラ

2003/11/19 GAGA試写室
フランスの人気コミックを映画化した爆笑歴史コメディ大作。
クレオパトラ役のモニカ・ベルッチははまり役。by K. Hattori


 フランスの人気コミックをクリスチャン・クラヴィエとジェラール・ドパルデュー主演で実写映画化した、大ヒット作『アステリクスとオベリクス』の第2弾。とはいえこの映画の1作目は日本で劇場公開されておらず、フランス映画祭横浜で1度上映されただけ。その時あまりの面白さに大笑いした僕ですが、今回こうしてその続編にお目にかかれたのは嬉しい限り。それもこれも、クレオパトラを演じたモニカ・ベルッチのおかげでしょうか。この映画でベルッチは大物ゲストスターという扱いなのですが、日本では当然のように彼女の名前が筆頭になっているのがその証拠です。

 紀元前52年のエジプト。ローマの将軍シーザーから「エジプト文化はすっかり衰退した」と言われた女王クレオパトラは、彼をぎゃふんと言わせるため「新しい宮殿を3ヶ月以内に造ってみせる」と豪語する。女王が恋人に大言壮語するのは勝手だが、この仕事を命じられた建築家ニュメロビスは大変。3ヶ月で新宮殿なんて、魔法でも使わなければまるで無理だ……。そう、魔法だ! ニュメロビスは遙か北の国で、ドルイド僧が人間を超人にする魔法の薬を作っていることを思い出すと一路ガリアへ。ドルイド僧のパノラミックスとガリア人のアステリックスとオベリックスとエジプトに連れ戻ると、魔法の薬を使って現場の人夫たちは百人力の働きぶりに大変身。これなら宮殿は期限以内に完成すると思われたのだが、この仕事ぶりを妬んで足を引っ張る連中が現れて……。

 今回の監督は『ディディエ』のアラン・シャバで、脚本とシーザー役を兼務。ゲストのモニカ・ベルッチは、美しくて気位が高いクレオパトラに見事はまっている。アステリックスとオベリックスは前作でもシーザーの軍勢をきりきり舞いさせているのだが、今回はシーザー役の役者が変更されたのに合わせて、シーザーはそんないきさつまできれいさっぱり忘れてしまった様子だ。映画は最初から最後まで大小のギャグやパロディがたっぷり詰め込められていて、クスクスハハハとたっぷり笑える。クスクス笑いが出る映画は多くても、ハハハまで到達する映画はなかなかないのですが、この映画はちゃんとそこまで観客を連れて行ってくれます。

 基本はドタバタなのだが、歴史的な知識があるとよりおかしみのあるギャグも多い。エジプト人の優秀さに固執するクレオパトラに、シーザーが「でも君はギリシャ人でしょ」(プトレマイオス朝はアレキサンダー大王の遠征でエジプトにやってきた武将の末裔。アレクサンドリアという地名は「アレキサンダーが作った都市」という意味)とつっこみを入れたりするのはその代表格。

 VFXを使って建築家同士がカンフー対決するシーンは、『マトリックス』以上の面白さ。豪華な衣装とセットは「なるほど金がかかっているなぁ!」と納得できるものだ。これが単館公開とはもったいないなぁ……。

(原題:Asterix & Obelix: Mission Cleopatre)

12月下旬公開予定 ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:ギャガ宣伝サウスグループ、アニープラネット
(2002年|1時間48分|フランス)
ホームページ:
http://www.gaga.ne.jp/cleopatre/

DVD:ミッション・クレオパトラ
原作:Asterix & Obelix
関連DVD:アラン・シャバ監督
関連DVD:クリスチャン・クラヴィエ
関連DVD:ジェラール・ドパルデュー
関連DVD:モニカ・ベルッチ

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