1932年に製作された古典モンスター映画『ミイラ再生』を『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(99年)にリメイクして大成功を収めたユニバーサル映画が、『ハムナプトラ』シリーズのスティーヴン・ソマーズ監督に撮らせたユニバーサル・モンスター大集合映画。登場するのは吸血鬼ドラキュラ、フランケンシュタインの怪物、狼男など。あとはミイラ男と透明人間がいれば、ユニーバーサル・モンスターのオールスター・キャストになる。
タイトルの『ヴァン・ヘルシング』というのはブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」に登場するヴァンパイア・ハンターの名前。映画の世界ではドラキュラの天敵として有名な人物だ。長年ヴァンパイア研究を続けてきた老教授として描かれることが多かったヘルシングだが、今回の映画では設定もガラリと変わり、若くて強くて活動的なヒーローへと大変身した。
主人公のヘルシングはヴァチカンの秘密指令を受け、世界各地でモンスターと闘っている。パリで一仕事終えた彼を待っていたのは、トランシルバニアで吸血鬼と戦い続けた一族の末裔アナを助け、敵の首領ドラキュラを倒すことだ。兵器担当のカールと共にトランシルバニアに乗り込んだヘルシングは、そこでドラキュラの恐るべき計画を知ることになるのだが……。
ソマーズ監督の『ハムナプトラ』シリーズ同様、本作もSFX満載のアクション大作になっている。モンスター映画の約束事や雰囲気をきちんと守りつつ、ストーリーそのものは飛んだり跳ねたり自由自在。そしてアクションもてんこ盛りだ。主人公がトランシルバニアの美しい姫君と恋をするエピソードもあれば、露出度の高い服でひらひら飛び回るドラキュラの花嫁たちもセクシー。フランケンシュタインの怪物もボリス・カーロフのオリジナルを踏まえつつ、まったく新しいキャラクターへと変身しているのが面白かった。
あくまでも「ユニバーサル映画の古典モンスター」という枠組みがあってこその映画なので、そうした映画に多少なりとも親しみがないと楽しめないかもしれない。アクションは一流でも、話がチンプンカンプンということになる可能性もある。しかしそれだけがこの映画の設定をわかりにくくしているわけではない。じつはこの映画には、ユニバーサル・ホラー以外からのキャラクターが紛れ込んでいるからだ。
それは主人公ヴァン・ヘルシングのことだ。彼のモデルは過去のドラキュラ映画のヘルシング教授ではなく、日本のアニメ『バンパイアハンターD』の主人公から影響を受けている。黒ずくめのコスチューム、つばの広い帽子、長い髪、血の宿命……。これって、Dそのまんまじゃないか! 劇場版の『バンパイアハンターD』はアメリカでも公開されているので、ソマーズ監督はたぶんそれを観ているのだろうね。『バンパイアハンターD』のファンの人も必見の映画です。
(原題:Van Helsing)