香港国際警察

NEW POLICE STORY

2005/1/7 東宝東和試写室
ジャッキー・チェンが部下を殺した強盗団と対決する。
話は暗いがそんなジャッキーもいい。by K. Hattori

 ジャッキー・チェン主演の警察ドラマ。同じジャッキー主演の同名人気シリーズがかつて存在したが、今回はそれとは別設定になっている。ただしこの映画、香港と中国の合作映画としては記録的なヒット作となったようなので、あるいは今後シリーズ化されるのかもしれない。今回の映画は警察ドラマによくあるバディムービー。ジャッキー扮するベテランの刑事と、ニコラス・ツェー演じる謎めいた若者が手を組んで、凶暴な強盗団を追い詰めていく。

 香港にあるアジア銀行の金庫を武装した強盗団が襲う。駆けつけた警官隊をなぎ倒して犯人たちは逃走。特捜部隊のチャン警部は犯人たちのアジトを見つけ出すが、そこで待っていたのは犯人グループの仕掛けた冷酷な罠だった。次々血祭りに上げらる部下たちを前に、チャンは何もできないまま犯人に命乞いするしかなかった。この事件でチャン以外の部下は全員が殉職。それから1年。酒びたりの日々を送っていたチャンの前に、犯人グループが再び活動を開始したという知らせと共に、新しい相棒に任命された若い巡査がやってくる。

 ジャッキー映画の本領はアクション・コメディだと思うのだが、今回の映画はかなりハードで重いものになっている。ゲーム感覚で警官を殺すことに興奮する若者グループと、彼らに部下をすべて殺され自暴自棄になっている刑事の戦いという設定がそもそも暗い。へべれけに酔っ払って薄汚れた路地でゲロ吐いてるジャッキーなんてあまり見たくない。若い警官たちが信頼する警部に助けを求めながら次々殺されていく場面は、あまりにも残酷で不愉快なものだ。主人公と恋人の関係もギクシャクしていて、映画を観ていても歯がゆくて仕方がない。

 しかしこうしたドラマ部分の重さやうっとうしさを、すべて吹き飛ばすアクションシーンの素晴らしさ。物語そのものは暗いのだが、1本の映画として観るとこれはこれで全体にバランスが取れているようにも思う。手に汗握るアクションシーンが荒唐無稽な毎度バカバカしいお笑いの世界に突入せず、生活の延長にあるリアルな出来事に見えるのは、ドラマの持つ暗さが重石になっているからかもしれない。痛快なアクションがスリルとサスペンスを売りにする見世物ではなく、主人公の心の動きと一体化している様子はミュージカル映画のようでもある。ミュージカル映画の主人公たちが1曲の歌で仲直りしたり恋に落ちたりするように、ジャッキーはアクションの中で自らの過去と対決し心の傷を乗り越えていく。

 すべてが終わった後に用意されているのは、観る者をホロリと泣かせるエピソード。ジャッキー映画としては笑いの少ない作品だが、観客の心を捕らえて離さない話術とテンポのよさには舌を巻く。ハイテク担当の若い女性捜査官を演じたシャーリーン・チョイがチャーミング。犯人グループのリーダーを演じたダニエル・ウーもよかった!

(原題:新警察故事 NEW POLICE STORY)

3月5日公開予定 全国ロードショー
配給:東宝東和
2004年|2時間4分|香港・中国|カラー|スコープサイズ
関連ホームページ:http://www.hongkong-police.com/
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