世界で一番パパが好き!

2005/3/10 日本ヘラルド映画試写室
ケヴィン・スミス監督の新作は『アルマゲドン』カップルが主演。
ゲスト・スターの登場にもニヤニヤ。by K. Hattori

 ニューヨークの音楽業界で宣伝マンとして働いていたオリー・トリンキは、急死した妻との間に生まれた一人娘ガーティを連れてニュージャージーの実家に戻る。妻を亡くしたショックと子育てという現実から逃避するように仕事に没頭するオリーだったが、ストレスが高じて大事な記者発表の席で暴言を吐いてしまい、会社と業界から追放されてしまった。オリーは実家で娘を育てながら、ニューヨークの宣伝業界に戻るチャンスを狙っていた。それから数年。おしゃまな娘に成長した娘ガーティとビデオ屋にでかけたオリーは、そこで女子大生のマヤと知り合い親しくなるのだが……。

 監督・脚本は『チェイシング・エイミー』や『ドグマ』のケヴィン・スミス。主人公オリーを演じるのは、ケヴィン・スミス作品の常連ベン・アフレック。映画の冒頭ではジェニファー・ロペスが彼の恋人役で出演していて苦笑いしてしまうのだが、劇中でふたりが結婚したと思ったら、次の瞬間にはもうロペス嬢がお亡くなりになるという怒涛の展開にまた苦笑い。(たぶんこの映画が、ふたりにとって最後の共演作となるでしょう。)女子大生のマヤを演じているのは、『アルマゲドン』でもアフレックの恋人役だったリヴ・タイラー。今やハリウッドの大スターとなっているマット・デイモンやウィル・スミスが、ワンシーンだけゲスト出演している。特にウィル・スミス本人を演じたウィル・スミスはなかなかの好演。映画の中でも一番感動的な場面のひとつになっている。

 主人公が自分のやりたい仕事と家族や恋人との暮らしを天秤にかけ、さてどっちを選ぶかという話だが、これはごく普通のアメリカ映画で主人公もいい奴だから、最終的に彼が家庭を選ぶことは目に見えている。主人公オリーは夢にまで見た仕事をあきらめることで家族の絆を取り戻し、恋人も含めた新しい家族として一歩を踏み出すことを暗示して映画は終わる。その間の親子のやりとりや、娘との仲違いや仲直りといったエピソードも含めて、なんとも古典的な、誰もが安心して観ていられる映画になっている。

 ただ僕はリヴ・タイラー演じるマヤというキャラクターがいささか強引なものに見えた。ビデオ店で声をかけ、その後ダイナーで落ち合うあたりまでは気にならないのだが、その後の言動はいささかエキセントリックすぎるように思う。この女子大生はアンケート調査のたびにこんなことやっているの? まさか! だとしたらなぜ彼女は、オリーにだけこうした反応を見せるのか。それは彼女がオリーに好意を持ったからだろう。でもその好意が、映画からはちょっと伝わってこないのだなぁ〜。これが残念。

 ガーティ役のラクエル・カストロはこれが映画デビュー作。芝居度胸がいいので、今後は子役として重宝がられる存在になるかも。映画のクライマックスに突然ミュージカルが挿入されるのは、ミュージカル好きには嬉しいプレゼントだ。

(原題:Jersey Girl)

3月26日公開予定 新みゆき座
配給:東芝エンタテインメント
2004年|1時間41分|アメリカ|カラー|スコープサイズ
関連ホームページ:http://www.sekapapa.jp/
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