花婿は18歳

2008/11/27 映画美学校第1試写室
登場人物全員が奇人変人ばかりというドタバタ喜劇。
ギャグはドリフのコント並みだが笑える。by K. Hattori

大河元気と結婚できる方法 花婿は18歳 ナビゲートDVD  赤い糸に結ばれて運命的な出会いを果たし、年の差にもめげず結婚してしまった男と女。新郎の雅也はまだ18歳の高校生で、新婦の愛子はそれより20歳も年上。でも運命の出会いにそんなことは何の障害にもならない。しかし新婚早々ふたりの前には重大な危機。それは雅也が通う高校の新しい校長として、愛子が赴任してきたことだった。このことが周囲に知られれば、ふたりの関係は大スキャンダルになること間違いなし。とりあえず雅也が高校を卒業するまで、この関係は秘密にしておかなければならない。ところが雅也は「嘘がつけない」という特異体質の持ち主。愛子との関係を誤魔化すため何か言おうとするたびに、呼吸は荒くなり、心臓の鼓動は速くなり、前身から脂汗が流れ出すのだった……。

 1970年代に一世を風靡した岡崎友紀と石立鉄男主演の人気ドラマ「おくさまは18歳」が、この映画の元ネタだろう。高校教師と女子学生が秘密の結婚をしていることで巻き起こるドタバタを、面白おかしく描く傑作ラブコメディだった。(僕はリアルタイムではなく、子供の頃に再放送で見ている。)この設定を男女逆転させ、女性教師と男子学生にしたのが今回の『花婿は18歳』だが、この男女逆転版というアイデアも1980年代にドラマ化されていて、そちらは「だんなさまは18歳」というタイトルだった。要するに今回の『花婿は18歳』は、生徒と教師が秘密の結婚をしているという設定自体に何の新しさもないということだ。

 しかし「おくさまは18歳」を原型とする「生徒と教師の秘密の結婚」という設定は、社会的な常識やモラルから見れば異常な結婚をしている主人公たちが、その異常さを周囲に隠さなければならないことで笑いが生まれるというものだった。結婚に至った理由やその後の経緯はどうであれ、結果として主人公たちが物語の中で一番非常識な人たちなのだ。ところが今回の『花婿は18歳』の場合、登場人物の誰も常識など持ち合わせていない。「生徒と教師の秘密の結婚」がまるで問題にならないと思われるほど、他の登場人物の言動は常軌を逸脱する異様なものなのだ。「私たちは非常識なことをしているから、それを隠して常識的に振る舞いましょう」という前提で学校生活を送っている主人公たちだが、その周囲は右を見ても左を見ても非常識な奇人変人ばかりなのだ。

 この奇人変人が一堂に会してのドタバタこそ、この映画最大の面白さ。主人公たちに勝手に入れ込んでいる同僚教師が無断で家に入り込んでくるエピソードは、人物の出し入れがドリフのコント並みで面白くてしょうがない。これに比べると後半の見合いの席でのエピソードは、舞台装置が平板で人物の動きが小さくなってしまったのが残念。ロケハンでもう少し別のレストランが見つかれば、立体的に人を動かせる面白い場面になったのかもしれないけれど……。撮影場所って大事だなぁ。

2009年1月31日公開予定 新宿シネマート(レイトショー)
配給:アールグレイフィルム 宣伝:アルゴピクチャーズ
2009年|1時間10分|日本|カラー|ヴィスタ
関連ホームページ:http://www.egfilm.co.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
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