ソフトボーイ

2010/03/26 東映第1試写室
全国大会目指して県内唯一の男子ソフトボール部設立した高校生たち。
実話を元にしたスポーツ青春コメディ。by K. Hattori

Softboy  オリンピックでメダルを取るなど目立った活躍を見せる日本の女子ソフトボールだが、この種目は別に女子限定というわけではない。小学校の頃に体育の授業でソフトボールをやったことがある男性は多いだろうし、小学生男子のソフトボール部も多い。しかし中学・高校になると、男子生徒の多くは野球へと民族の大移動。かくして男子ソフトボールは、日本ではすっかりマイナーなスポーツに甘んじている。「え、男がそんなことやってるの?」という意外性では、男子新体操や男子チアリーディングと互角かもしれない。競技人口が少ないスポーツでは、全国大会でも出場チームの層が薄くなる。チームを作っただけで、都道府県の代表チームになってしまうことだって有り得るわけだ。

 佐賀県牛津にある牛津学園高等学校は、家政科・服飾科・調理科などからなる元女子校。男女共学になった現在も、男子生徒は全校の1割程度しかいない。そこで女子生徒に混じって勉強中のオニツカは、幼なじみのノグチに誘われ男子ソフトボール部を作ることになる。創部の動機はいたって簡単。佐賀県には高校男子ソフトボール部が1校もないため、部さえ作ればすぐに県代表として全国大会に出場できる。全国大会に出場できれば、一躍地元のヒーローだ。フランス料理のシェフ目指して勉強中のオニツカだったが、悪友ノグチに押し切られて渋々創立メンバーに参加。学校の許可も取り、部長や監督役の教師も決まり、女子マネも名乗りを上げたが、試合出場に必要な9人のメンバーが集まらない。何しろこの学校、全校で30人ほどしか男子生徒がいないのだ……。

 実話を元にしたスポーツ・コメディ映画だという。タイトルから成り立ちまで、やはり実話を元にしたスポーツ・コメディ『ウォーターボーイズ』にそっくり。『ウォーターボーイズ』はプロデューサーが「ニュース・ステーション」を見て企画を思いついたそうだが、『ソフトボーイ』ではプロデューサーが「ズームイン!! SUPER」を見て企画を思いついたんだとか。映画は実話が出発点でも残りはオリジナルだろうが、自由勝手に物語を脚色したわりには話があまり盛り上がらないのが残念。脚本が湿っぽくて、物語になかなか火が着かないうちに終わってしまったような印象だ。

 この映画にとって最大の弱点は、物語の主人公であるオニツカが常に受身で、自分からは積極的に動き出そうとしないところだ。この映画の中で彼が一番積極的に行動したのは「ソフトボール部を辞める」ということだったりする。これでは話が盛り上がりっこない。話のきっかけとして「友人に誘われて」はもちろんアリだが、途中から主人公が積極的に物語に関わっていかないと話がうまく回らない。オニツカは狂言回しで、本当の主人公はノグチだと考えることは可能だが、そうなれば今度はノグチのキャラクターが掘り下げ不足。これは小手先の問題ではなく、脚本の抱える根本的な弱点だ。

6月19日公開予定 丸の内TOEIほか全国東映系
配給:東映 宣伝:スキップ
2010年|1時間53分|日本|カラー
関連ホームページ:http://www.softboy.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:ソフトボーイ
小説版:ソフトボーイ(関口尚)
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