トラブル・イン・ハリウッド

2010/06/16 京橋テアトル試写室
ロバート・デニーロ主演のハリウッド内幕コメディ。
イマイチはじけないのが残念だなぁ。by K. Hattori

What Just Happened?  主人公ベン(ロバート・デ・ニーロ)は、ハリウッドを代表する映画プロデューサーのひとり。ところがショーン・ペン(本人)主演の新作では監督(マイケル・ウィンコット)が思いがけず「作家性」なるものを発揮してしまい、完成直前の覆面試写会で観客から非難の嵐を浴びてしまう。作品はカンヌ映画祭のオープニングにも選ばれているというのに、このままでは映画は大コケし、ベンも作家の暴走を許した無能なプロデューサーとしてハリウッドで物笑いの種になってしまう。同じ頃、ベンが関わっている別の新作映画はクランクイン直前。ところが主演のブルース・ウィリス(本人)が、何を考えたか突然熊のようなヒゲ男になっている。本番までにこのヒゲを剃らせないと、映画会社が撮影を中止させると宣告している。ところがウィリスはスター俳優の我が侭ぶりを存分に発揮して、「撮影中止にできるものならしてみろ!」とすごむ。ベンはウィリスのエージェント(ジョン・タトゥーロ)に説得するよう強く迫るのだが、大物クライアントの機嫌を損ねたくないエージェントはのらりくらりとこの要求から逃げ回るばかり。私生活もメチャクチャになっているベンは、はたしてこの窮地から抜け出すことができるのか?

 ロバート・デ・ニーロ以下、豪華キャストが揃ったハリウッド内幕映画。上記キャストの他に、ロビン・ライト・ペン、スタンリー・トゥッチ、キャサリン・キーナー、クリスティン・スチュアートなどの豪華メンバー。(ロビン・ライトは夫であるショーン・ペンの妻ではなく、デ・ニーロの元妻を演じている。)監督はバリー・レヴィンソン。ハリウッドの映画プロデューサーでもあるアート・リンソンの原作を、リンソン本人が脚色している。おそらく登場するエピソードの多くは、ハリウッドの映画関係者なら何らかの形で「身に覚えのあるもの」だったりするのかもしれない。

 しかしながらこの映画、出演者の豪華さや監督のネームバリュー(バリー・レヴィンソンに今でもそんなものがあるとしての話だが)ほどには面白くない。個々のエピソードには面白いものもあるのだが、全体を通した大きな物語が欠如しているからだろうか。例えば同じようにハリウッドの映画プロデューサーを主人公にしていても、ロバート・アルトマンの『ザ・プレイヤー』には犯罪ミステリーやラブストーリーという大きな縦軸があった。しかしこの『トラブル・イン・ハリウッド』は、主人公の関わる2本の映画についての物語と、彼の私生活上のいざこざが、それぞれ別々に進行していってどこにも交わるところがない。業界誌の写真撮影に始まり、業界誌の写真撮影に終わる額縁型の構成も、映画全体をまとめ切れてはいない。

 スタッフもキャストもこれだけ豪華な顔ぶれを揃えたのに、制作から2年後に小規模公開という寂しさ。以前ならキャストの豪華さだけで、映画ファンが舌なめずりした映画だろうに。

(原題:What Just Happened)

9月4日公開予定 渋谷シネマアンジェリカほか全国順次公開
配給:フリーマン・オフィス
2008年|1時間44分|アメリカ|カラー|スコープサイズ|ドルビー|デジタル上映
関連ホームページ:http://www.
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:トラブル・イン・ハリウッド
DVD (Amazon.com):What Just Happened
原作洋書:What Just Happened (Art Linson)
関連DVD:バリー・レヴィンソン監督
関連DVD:ロバート・デ・ニーロ
関連DVD:ブルース・ウィリス
関連DVD:ショーン・ペン
関連DVD:ロビン・ライト
関連DVD:キャスリン・キーナー
関連DVD:ジョン・タトゥーロ
関連DVD:スタンリー・トゥッチ
関連DVD:マイケル・ウィンコット
関連DVD:クリステン・スチュアート
ホームページ
ホームページへ