パラノーマル・アクティビティ第2章

TOKYO NIGHT

2010/11/05 映画美学校試写室
大ヒットした低予算フェイク・ドキュメンタリーの日本版続編。
オリジナルをうまく日本にアレンジしている。by K. Hattori

Paranomal2  2007年に製作された低予算インディーズ映画ながら、2009年にアメリカで劇場公開されるや大きな話題を呼んで拡大公開されることになったヒット作『パラノーマル・アクティビティ』の日本版続編。オリジナル版の日本公開が今年1月だったので、この「続編」の製作と公開のタイミングはかなり早い。アメリカでは今年10月に続編『パラノーマル・アクティビティ2』が公開されているが、これも1作目の全米公開から丸1年たってのこととはいえ相当なスピードだ。僕は1作目を見た段階から、こうした低予算映画が今後の映画業界でひとつの興行の柱になっていくと考えたわけだが、このスピード感を見るとそうした考えがますます強まっていく。ホラー映画などジャンルは限られてしまうかもしれないが、ヒット作の続編やリメイクを矢継ぎ早に市場に繰り出していく「がめつさ」が今後はますます映画業界に求められていくかもしれない。

 さて今回の日本版続編だが、「続編」と言いながら、内容的にはアメリカで作られたオリジナル版の「リメイク」になっている。オリジナルとの内容的なつながりはまったくない。この「続編」は、オリジナル版と無関係にこの映画の中だけで話が完結している。物語の筋立てや盛り込まれているアイデアなども、オリジナルを踏襲してアレンジしたものばかり。いくつか省かれたり、付け加えられたりしたエピソードもあるが、それは全体の中ではごく小さなもの。2本の映画を比べれば、やはり「続編」と言うより「リメイク」なのは明らか。それが悪いというわけではない。これはこれで、ちゃんと面白い映画に仕上がっている。オリジナル版を観ていると新鮮さはないが、それでも設定などをうまく日本風にアレンジしていて面白い。

 オリジナル版で同棲中の恋人同士だった主人公のカップルを、日本版続編では姉と弟に変えたのがアイデア賞。広い家に姉弟だけでは不自然だが、家には父も住んでいるものの長期出張が多くて留守がちという設定にした。設定でむしろ不自然なのは、アメリカ留学中に交通事故で両足を複雑骨折したという姉の部屋が、家の2階になっていること。毎日の食事は1階で済ませているようだから、これはちょっと不自然この上ない。まず1階の座敷かどこかにひとりで寝かせて、「夜中に変な音が聞こえて気持ち悪いから」などと2階の自室に移動させる方法もあったはず。また夜中に車椅子などのものが動く現象は、ネズミや場合によってはアライグマなどの小動物の存在や、床の傾斜など、超常現象に頼らない説明をまず試みてもよかったはず。映画を観る人は最初から超常現象を期待してるとはいえ、こうした細部で主人公たちの「逃げ道」は全部ふさいでおいてほしいのだ。

 弟を演じた中村蒼がすごくいい。カメラの前でリラックスした自然体の芝居。フェイクドキュメンタリーとしては、彼の存在が一番「リアル」に感じられた。

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11月20日公開予定 シネマサンシャイン池袋
配給・宣伝:プレシディオ
2010年|1時間30分|日本|カラー|ビスタサイズ|DOLBY DIGITAL
関連ホームページ:http://www.paranormal-2-tokyo.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:パラノーマル・アクティビティ第2章 TOKYO NIGHT
オリジナル版DVD:パラノーマル・アクティビティ
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