世界侵略:ロサンゼルス決戦

2011/07/12 SPE試写室
異星人侵略で孤立した民間人を救出に向かう海兵隊員たち。
SF仕立てのバトルアクション映画。by K. Hattori

Sekaisinryaku  2011年8月。天文学者たちは地球の近くに突然現れた隕石群に驚いたものの、それがほんの数日で次々と世界各地の海洋に落下するのを眺めているしかなかった。しかしそれから数時間後、世界中の主要都市が海からの大規模攻撃を受ける。未知の敵は統制された動きであっと言う間に各国の軍隊を蹴散らし、海岸沿いの大都市はあっと言う間に敵の手中に落ちてしまう。それは遠い宇宙から来た異星人の侵略。彼らは人類に対して警告や交渉を行うことなく、徹底した殺戮と破壊によって海岸線から支配地域を広めてゆく。ベテランの海兵隊員ナンツ2等軍曹は、市街地に孤立して助けを求めている民間人を救出するため、まだ経験の浅いマルチネス少尉の小隊に加わり敵の真っ直中に送り込まれる。タイムリミットは3時間。それまでに防衛戦まで引き返せなければ、敵殲滅のための大規模爆撃に巻き込まれて命はない。ナンツたちは無事作戦を成功させて、戻ってくることができるのだろうか……。

 地球を侵略しに来た宇宙人と戦う映画は山のように作られているが、本作はそれを「その時人類はどうするか」という大きな視点から描かず、「その時現場の一兵士はどうするか」という小さな視点にこだわって描いたアクション・サバイバル映画だ。観客は何が何だかわからないままに、主人公たちと共に戦闘の最前線に送り込まれ、上官たちから簡単なブリーフィングを受けると、敵がひしめく占領地へと送り込まれてしまう。路上には破壊された車や瓦礫、そして人間の死体が足の踏み場もないほどに散らばっている。硝煙と粉塵が濃霧のように周囲に立ちこめ、視界がまったくさえぎられた中で目的地を目指す少数の兵士たち。

 映画を観ているときはストーリーを追うことに精一杯で意識しなかったのだが、これはアクション・アドベンチャーゲームのようなコンセプトで作られた映画だ。主人公個人の一人称視点があり、簡単な状況設定だけが与えられると、後は戦いのど真ん中に放り込まれ、自動小銃などの小型火器で敵を倒しながら前進してゆく。狭い路地での戦い。室内での戦い。バスを奪っての脱出。敵航空機の攪乱。シチュエーションはさまざまだ。最初に与えられたミッションをクリアすると、最後はラスボス相手のファイナルステージが待っている。ゲームを原作にした映画には『バイオハザード』などの成功例もあるが、本作はそれとは逆に、ゲーム的な発想でオリジナルの映画を作っているわけだ。(ただし「やはり」と言うべきか、この映画のゲームも発売されるようだ。)

 なお予告編などで紹介されている1942年の「ロサンゼルスの戦い」は、映画本編中には一切出てこない。映画に描かれない設定として、過去のUFO飛来は本格的な侵略に向けての偵察だったとされているだけだ。「ロサンゼルスの戦い」をそのまま映画化しても、それはそれで面白かったと思うけどね……。

(原題:Battle Los Angeles)

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9月17日公開公開予定 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2011年|1時間56分|アメリカ|カラー|スコープサイズ|SDDS、ドルビーデジタル、ドルビーSR
関連ホームページ:http://www.battlela.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:世界侵略:ロサンゼルス決戦
サントラCD:世界侵略:ロサンゼルス決戦
サントラCD:Battle Los Angeles
関連DVD:ジョナサン・リーベスマン監督
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