忍たま乱太郎

2011/07/24 109シネマズ木場(スクリーン7)
アニメのキャラになりきった大物俳優にびっくり仰天。
小ネタが多いが全編楽しめる。by K. Hattori

Nintama  「忍たま乱太郎」は1993年から現在まで、NHKで放送が続いているご長寿アニメ。忍術学校に通う忍者のたまご(忍たま)たちが、仲間や先生たちと繰り広げるドタバタ主体とした作品だ。番組主題歌の「勇気100%」は放送開始直後からアーティストを変えながら今でも歌い継がれているが、これを最初に歌っていたのが光GENJIだったところが時代を感じさせる。この曲を知らない人はたぶんいないだろう。最近は東日本大震災の直後から、坂本九の「上を向いて歩こう」などと共にラジオ局にリクエストが殺到。日本の復興を力づける応援歌としても親しまれているようだ。

 これだけの人気作品だから何度も映画になっているかと思いきや、1996年にアニメ版『トイレの花子さん』と同時上映された中編作品が1本作られ、それから15年たった今年になって『劇場版アニメ 忍たま乱太郎/忍術学園 全員出動!の段』が公開されている。(他にも3Dの短編映画やプラネタリウム用の中編スライド作品があるとのこと。)実写化はもちろんはじめてのことだが、これはアニメ版の番外編ではなく、この1本で独立した作品になるよう作られている。主人公の乱太郎が忍術学園に入学するようになった経緯や、忍術学園の先生や生徒たちの紹介などを経て、最後に忍者同士の抗争を乱太郎たちが解決するべく奮闘するクライマックスへと進んで行く。

 主演の加藤清史郎が乱太郎に扮した宣伝用素材が発表された時点で「アニメにそっくり!」ということが話題になったが、この映画では他の登場人物たちも「アニメにそっくり!」なのに驚かされる。乱太郎の同級生であるきり丸やしんべヱもいい雰囲気だが、豪華キャストによる大人忍者たちが強烈。学園長の平幹二朗や、学園長をライバル視する稗田八方斉の松方弘樹、シナ先生役の中村玉緒、老忍者に扮する石橋蓮司などは、特殊メイクの下に素顔が完全に埋没して一瞬誰だかわからない。それでも声や体の動きで、しっかりと役者の個性が発揮されるのが大物役者なればこその貫禄。平幹二朗と松方弘樹は三池崇史監督の前作『十三人の刺客』にも出演しているのだが、役柄のギャップに目まいがしそうになる。

 細かなエピソードが多くて映画としてのまとまりは悪いのだが、抜群に面白いことは間違いない作品。鹿賀丈史のヘンテコなミュージカルなどは、劇団四季出身という素養が生きているんだかいないんだかわからないような奇妙奇天烈ぶり。これ自体はあまり笑えないのだが、異次元のようなミュージカル空間を延々引っ張っていく作り手側の図々しさには降参だ。このノリで他のキャラクターたちの活躍をもっと観たいので、これはぜひぜひシリーズ化して3本ぐらいは作ってほしい。アニメも原作も登場人物はまだまだ多いし、今回は顔だけ出してほとんど活躍らしい活躍をしていない人物も多い。このネタはまだいける。ぜひ続編を期待する。

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7月23日 新宿バルト9ほか全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
2011年|1時間40分|日本|カラー|サイズ|サウンド
関連ホームページ:http://wwws.warnerbros.co.jp/nintama/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:忍たま乱太郎
関連書籍:実写版 忍たま乱太郎 オフィシャルブック
アニメ版DVD:忍たま乱太郎
主題歌CD:勇気100%(NYC)
関連DVD:三池崇史監督
関連DVD:加藤清史郎
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