スパイキッズ4D

ワールドタイム・ミッション

2011/09/18 新宿ピカデリー(スクリーン6)
世界の時間を奪おうとする敵に子供スパイが立ち向かう。
8年振りのシリーズ復活に大喜び。by K. Hattori

Spykids4d  前作『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』から8年振りとなる、『スパイキッズ』シリーズの最新作。前作までの3部作でちびっ子スパイとして大活躍したカルメンとジュニは、今ではもうすっかり大きくなったので主役交代。それに合わせてふたりの両親を演じていたアントニオ・バンデラスとカーラ・グギノも退場して、今回は新しい顔ぶれでのシリーズ再起動となっている。ただし物語の舞台設定はシリーズ共通。国際的なスパイ組織OSSのメンバーであることを子供たちに隠していた母親と、世界を危機に陥れる重大事件に巻き込まれたことで、OSSのメンバーになる子供たちの冒険物語だ。設定やキャラクターは違えども、物語の構成は1作目の『スパイキッズ』を踏襲するものになっている。

 今回の主人公は子供スパイではなく、ジェシカ・アルバ扮する元OSSのスパイ、マリッサ。彼女は前シリーズでアントニオ・バンデラスが演じたグレゴリオの妹という設定で、誇り高きコルテス一族の一員だ。前シリーズの主人公だったカルメンとジュニは、マリッサの姪っ子と甥っ子ということになる。今回の映画では成長したカルメンとジュニが重要な役柄で登場し、相変わらずの姉弟ゲンカを見せてくれる。前シリーズのレギュラーだったダニー・トレホも、劇中にちらりと姿を見せるのが嬉しい。この新作がシリーズ化されれば、バンデラスやグギノのゲスト出演もあり得るかもしれない。

 タイトルの『4D』は「3D+新しいギミック」の意味で、映画の内容と連動してニオイが出るカード(4Dミッションカード)をこするという仕掛けになっている。前作『3-D』で画面の「3D」表示に合わせて、アナグリフ式の3Dメガネをかけたのと同じような形だ。ニオイの出る映画としてはジョン・ウォーターズの『ポリエステル』(1981)が有名だが、ロドリゲス監督もこの映画からの今回の『4D』を借用したとのこと。肝心のニオイだが、残念ながら何度カードをこすっても僕はあまりはっきりしたニオイを感じられなかったのが残念。8種類のニオイはどれも、安っぽいオモチャの消しゴムに入っている香料のようなニオイで(実際にそのようなものが配合されているのだろう)、何が何だかよくわからない。ただしこうした仕掛けによって、映画館全体が一体になるのはいい。ニオイの正体がわからないならわからないなりに、映画館の暗闇の中でみんなして首をかしげたりしているのだ。

 新スパイキッズとなるふたりだが、弟のセシルが耳に障害を持っている設定。しかしこれが弱点ではなく、長所として描かれているのがユニーク。姉の面倒くさい言い訳が始まると補聴器のスイッチを切ってしまったり、窮地に陥ると逆に補聴器の感度を上げて小さな音を拾ったりと自由自在。彼らの家庭が父親と継母による再婚家庭であることも含めて、前シリーズとは違うアレンジになっているように思う。

(原題:Spy Kids: All the Time in the World in 4D)

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9月17日公開 新宿ピカデリーほか全国ロードショー
配給:松竹、アスミック・エース
2011年|1時間29分|アメリカ|カラー|ヴィスタサイズ|ドルビーデジタル、DTS、SDDS
関連ホームページ:http://sk4d.com/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:スパイキッズ4D:ワールドタイム・ミッション
サントラCD:Spy Kids: All the Time in the World
関連DVD:ロバート・ロドリゲス監督
関連DVD:ジェシカ・アルバ
関連DVD:ジョエル・マックヘイル
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