アメイジング・スパイダーマン

2012/06/18 SPE試写室
主演をアンドリュー・ガーフィールドに交代した新シリーズ。
フレッシュな新スパイダーマンだ。by K. Hattori

Amazing_spiderman  2002年から2007年にかけて、サム・ライミ監督がトビー・マグワイア主演で映画化した『スパイダーマン』3部作。今回の映画はその世界を一度ご破算にして、新たに仕切り直したリブート作品だ。主演は『ソーシャル・ネットワーク』や『わたしを離さないで』のアンドリュー・ガーフィールド、監督は『(500)日のサマー』のマーク・ウェブに交代した。脚本は前シリーズ2・3作目にも参加していたベテランのアルヴィン・サージェント、『ハリー・ポッター』シリーズを手掛けていたスティーヴ・クローヴス、『閉ざされた森』や『ゾディアック』のジェームズ・ヴァンダービルト。原作者のスタン・リーが今回も製作総指揮に名を連ね、途中でワンシーン出演して観る者の笑いを誘う。

 ライミ版『スパイダーマン』3部作は、高校生だった主人公たちが社会に第一歩を踏み出して行くところからはじまるが、新作『アメイジング・スパイダーマン』は学園青春ドラマの枠組みを保っている。主人公ピーターの恋人はグウェン・ステイシーになった。ヴィランはカート・コナーズ博士が変身する巨大トカゲのリザード。このコナーズ博士はピーターの父リチャードと共同研究を行っていた科学者で、リチャード失踪の秘密についても重大な秘密を知っているらしい。こうした設定は映画オリジナルのものではなく、すべて原作に存在するものだ。アメコミの世界にスパイダーマンが最初に登場したのは、今からちょうど50年前の1962年。半世紀の間に物語が巻き戻されたりリセットされたりして、キャラクターの来歴や関係性が複雑化しているのだ。前3部作に出てきたメリー・ジェーンやハリー・オズボーンも、今後の続編で登場してくるかもしれない。

 主人公にいきなり恋人ができてしまうせいもあるが、今回の『アメイジング・スパイダーマン』は前3部作に比べると楽天的で明るいムードだ。もちろんピーターは両親のいない身の上だし、ベン伯父さんは殺されるし、悪党にも警察にも追われるといった、基本的な枠組みはほとんど変わっていない。しかし今回の新シリーズには、明日の見えない閉塞感がない。高校生の若者たちは、まだ自分たちの未来を信じている。悲惨な出来事や事件が起きても、主人公たちは来たるべき明日のために今日を生きていくのだ。

 主人公がいかにしてスパイダーマンとしての能力を獲得して使いこなしていくかが、映画序盤での大きな見せ場。今回のピーターはいきなりスーパーパワーを我が物にするのではなく、倉庫で秘密の特訓をして力の使い方を学んだり、通販で取り寄せた素材からスーツやウェブシューターを作ったりと、短い期間ながらも地味な下積み時代(?)を経ているのがいい。これによって映画を観ている人とスパイダーマンの距離が、ぐっと近いものになっている。登場人物の中では高校のガキ大将フラッシュが気になる。乱暴だが情に厚いアメリカ版ジャイアンだ。

(原題:The Amazing Spider-Man)

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6月30日公開予定 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
6月23日・24日 3D先行上映 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2012年|2時間16分|アメリカ|カラー|スコープサイズ
関連ホームページ:http://www.amazing-spiderman.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:アメイジング・スパイダーマン
サントラCD:The Amazing Spider-Man
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