マダガスカル3

2012/07/06 パラマウント試写室
動物園を抜け出して野生に戻った動物たちが今度はサーカスに。
人気シリーズ3作目でたぶん完結編。by K. Hattori

Madagascar3  ニューヨークの動物園から逃げ出した、ライオンのアレックス、シマウマのマーティ、キリンのメルマン、カバのグロリア。生まれ故郷のアフリカに戻ったものの、考えることと言えば故郷ニューヨークのことばかり。都会で育ち、都会の子供たちに喝采を浴びていた動物たちには、やっぱり都会の動物園が恋しいのだ。彼らはニューヨークに戻ることにする。頼りとするのは、先にアフリカを旅立ってモンテカルロに潜伏中のペンギンズ。だがモンテカルロに乗り込んだアレックスたちはカジノで大騒ぎを起こし、動物公安局の女性捜査官デュボア警部に負われることになる。慌てて逃げ出した一行は、旅回りのサーカス一座に潜り込む。一座がアメリカ公演を予定していると聞いて、アレックスたちはペンギンズたちの稼ぎを使って一座のオーナーに。だがこのサーカスは、芸も演出も二流以下のおんぼろサーカスだった。このままではとてもニューヨークにたどり着けない。アレックスたちはプライドばかり高くて実力のともなわないこのサーカスを、何とかテコ入れしようとするのだった。

 映画は物語の中に3つの動機を置いている。ひとつはアレックスたちがホームタウンのニューヨークに戻ろうとする話。もうひとつはアレックスを獲物と狙うデュボア警部との追いかけっこ。そして最後が、おんぼろサーカスの建て直しだ。主人公たちが動物園に戻ろうとするのは、このシリーズでは一貫している主要なモチーフ。なので今回の映画の目玉はそれ以外の2つということになる。ディボア警部の登場は、主人公たちの旅の動機を強化するアイデアだ。主人公たちは「ニューヨークに帰りたい」という内面的な動機以外に、デュボアに捕まれば命が危ないという外的な動機付けから、大距離の移動を余儀なくされる。これは急勾配に差し掛かった列車を前後から機関車ではさみ、前引き後押しで力強く登坂して行くようでじつにダイナミック。デュボア警部とその部下たちの強烈なキャラクターも相まって、この映画はひょっとするとこれだけでも物語が成立したのではないかと思わせるほどだ。しかし、映画はそれでは終わらない。

 この映画のおんぼろサーカスの建て直し話を見て、僕はフレッド・アステア主演のミュージカル映画『バンドワゴン』(1953)を思い出した。あれも観客に受けないダメなショーを、主人公が建て直して大成功させる話だ。過去の栄光にすがっていたサーカスのスター動物たちが、主人公の提案した新しい演出で復活して行く様子は見ていて痛快。サーカスの移動に使うサーカス列車も、『ダンボ』(1941)や『地上最大のショウ』(1952)などに出てくる古き良きサーカスを連想させる。今回の映画は3Dなのだが、この立体効果がフルに味わえるのはこのサーカスの場面。空中ブランコもすごいが、トラのビターリが輪くぐりをする場面は、何度見てもニコニコしてしまう。

(原題:Madagascar 3: Europe's Most Wanted)

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8月1日公開予定 新宿ピカデリーほか
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
パブリシティ:P2、アンリミテッド
2012年|1時間33分|アメリカ|カラー|ビスタビジョン|SUB:DTS・SRD・SR(シアンダイ)、DUB:SRD・SR
関連ホームページ:http://www.madagascar.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:マダガスカル3
サントラCD:Madagascar 3: Europes Most Wanted
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