バチェロレッテ

あの子が結婚するなんて!

2013/01/22 GAGA試写室
高校時代の友人の結婚準備をするはずがメチャメチャに。
女性版の『ハングオーバー』。by K. Hattori

Bachelorette  キリスト教式の結婚式は日本でもすっかり普通のものになったが、それでも日本になかなか持ち込まれないのが、新郎新婦のそれぞれが、結婚式前日に友人たちと馬鹿騒ぎをするバチェラーパーティーやバチェロレッテパーティーだ。ホテルなどではパーティー用の部屋をオプションで用意するなど、結婚式費用の単価アップに繋げようとしているところもあるようだが、上手く行っているという話を聞いたことがない。だいたい日本人は欧米人に比べると酒に弱い体質なので、前日にグデングデンになるまで飲んじゃうと、翌日は新郎新婦が二日酔いで青い顔をしていなければならない。そんなわけでこの習慣は、まだ当分の間、映画や海外ドラマの中だのものだと思う。

 本作はバチェロレッテパーティーに参加するため集まった、高校の友人3人組を描くコメディ映画だ。バチェラーパーティーの顛末を描くコメディ『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(09)の女性版みたいなものだと思えば、当たらずとも遠からずだろうか。パーティーの主役であるはずの花嫁をそっちのけにして、花嫁の友人代表を勤めるヒロインと、その友人たちが下品なドタバタを繰り広げるという作りは共通している。ただし問題は、男たちの下品さは笑いにつながるが、女たちの下品さはひたすら見苦しく、笑う前に気持ちがドン引きしてしまうことだ。この映画は下品なのに加えて、ひどく不潔な場面も多い。男が薄汚くて不潔なのは笑えるのだが、女たちが不潔だと……(以下略)。

 劇作家レスリー・ヘッドランドの同名戯曲が原作で、原作舞台は2010年に初演されるや連日チケットが売りきれるヒット作だったのだという。この舞台劇に惚れ込んだのが俳優ウィル・フェレルの製作で映画化となり、監督・脚本は原作を書いたレスリー・ヘッドランド本人が務めることになった。メイド・オブ・オナー(花嫁の付き添い役)を務める親友レーガンを演じるのは、『スパイダーマン』シリーズのキルスティン・ダンスト。原作舞台がどのようなものだったか知るよしもないが、仮にこの映画を舞台に置き換えるなら、劇中にあるどぎつい描写もそれなりに中和されて笑えるような気がする。舞台劇は三面を壁でふさがれた水槽のようなもので、観客がいくら熱心にそれを観ても、客席と舞台の間にある見えない壁が取り払われることはないからだ。しかし映画は違う。カメラは舞台劇が持つ見えない壁をやすやすと突破し、登場人物たちに肉薄してその体臭まで嗅ぎ取ってくるのだ。

 一夜のドタバタで主人公たちの秘められた過去が暴露され、確執と和解があり、古傷が癒され、新しい恋が生まれ、最後はハッピーエンドになる。ドラマの作りとしては定番で、映画の後味は悪くない。だがこの映画は導入部から中盤までが、どうしようもなく下品で汚らしい。同世代の女性が観れば、また別の感想があるのだろうか?

(原題:Bachelorette)

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2月22日公開予定 TOHOシネマズ六本木ヒルズ
配給:ギャガ
2012年|1時間28分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|ドルビーデジタル
関連ホームページ:http://bachelorette.gaga.ne.jp
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
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