子供たちにとっては日曜朝のお楽しみ、「獣電戦隊キョウリュウジャー」と「仮面ライダーウィザード」の映画版2本立て興行だ。今回は「仮面ライダーウィザード」に最年長ライダーとして陣内孝則が出ることがニュースになっていて、「獣電戦隊キョウリュウジャー」についてはシリーズ初のミュージカル映画だとアナウンスされていた。陣内孝則はともかく、ミュージカル映画好きとしては「キョウリュウジャー」に期待していたのだが、はたして結果はどうだったのか……。というわけで、上映された順番に簡単な感想。
まず上映されたのは『劇場版 獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリンチョ・オブ・ミュージック』で、タイトルは『サウンド・オブ・ミュージック』のもじりだろうか。ミュージカル映画になるというのが売りだったが、映画を観る限りこれのどこがミュージカルなのかわからない。ダイゴ(キョウリュウレッド)の友人としてアイドル歌手のMeekoというキャラクターが登場し、彼女の歌が大きく扱われているわけだが、それで映画がミュージカルになるわけではないだろう。歌手が登場しても、それが歌うだけではミュージカルにならない。それがミュージカルなら、朝ドラの「あまちゃん」だってミュージカルになってしまうではないか。
ミュージカル映画の定義はわりと曖昧で、『シェルブールの雨傘』や『レ・ミゼラブル』のようにすべての台詞を歌にしてしまうものもあれば、台詞を歌にしないままでも成立しているミュージカルは多い。だがどんなミュージカルでも、やはり歌う場面が数曲は必要だし、そのための楽曲が数曲は必要なのだ。今回の『キョウリュウジャー』は曲が少なすぎる。上映の尺が短いとはいえ、Meekoやダイゴにあと2曲ぐらいは歌わせないとお話にならない。
むしろ今回のこの映画は、ディノガールズのレムネアとアーシーが見せるアクションが見どころ。アクション俳優、特に女性たちが活躍できる作品が日本ではあまり多くないので、スーパー戦隊や仮面ライダーは貴重なのだ。
『劇場版 仮面ライダーウィザード イン マジックランド』は上映尺が『キョウリュウジャー』の倍もある本興行のメイン作品だが、正直言ってどこがどう面白いのかよくわからなかった。マヤ大王が支配する魔法の国というのは、『オズの魔法使』の下手くそなもじりのようで白けてしまう。陣内孝則が演じる仮面ライダーソーサラーもまるでカリスマ性がなく、ヴィラン(悪役)としては魅力不足。せっかく外部から有名俳優を招いて目玉にするなら、それに相応しいキャラクターを作ってあげないと失礼だし、観客の期待にも応えられない。
ミュージカル映画だと言うなら、ちゃんとしたミュージカル映画を作るべし。陣内孝則を招いて最年長ライダーをやるなら、それに相応しいキャラクターを作って演じてもらうべし。今回の映画は2本とも中途半端なものだった。
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