リディック

ギャラクシー・バトル

2013/12/02 松竹試写室
ヴィン・ディーゼルのリディック・シリーズ待望の第3弾。
原点回帰の脱出型サスペンス・アクションだ。by K. Hattori

13120201  2000年の『ピッチブラック』、2004年の『リディック』に続く、ヴィン・ディーゼル主演のSFアクション映画第3弾。前作で高等種族ネクロモンガーの最高位ロード・マーシャルの座に就いてしまったリディックだが、今回の映画では再び元のお尋ね者に戻っている。このあたりの経緯説明はいささか駆け足だが、前作のままだと続編が作れないのでこれは仕方ない。物語をどうやって再起動させるかで製作者側はずいぶん悩んだはずで、その結果が今回の開き直ったようなリディック追放劇につながったのだと思う。

 卑劣な裏切りによってロード・マーシャルの座を追放されたリディックは、置き去りにされた見知らぬ星から脱出するため、廃墟になっていた基地から救難信号を発信する。間髪を入れずにやって来たのは、命知らずの賞金稼ぎサンタナと部下たち。それに少し遅れて、ジョンズ率いる傭兵隊もやってきた。彼らはリディックに船を奪われないよう、動力装置の心臓部を取り外して厳重に保管。だが神出鬼没のリディックはそんなことお構いなしに、基地を拠点に捜索活動をする彼らをひとりずつ仕留めていく。基地には巨大な雨雲が接近しているが、それはこの非情なゲームのタイムリミットを示していた……。

 物語は1作目への回帰であり、事実上のセルフリメイクみたいなものだと思う。リディックを含む少人数の人間たちが異星に閉じ込められ、そこで恐ろしいモンスターと戦うのだ。CGで描かれた異星の風景や生物の姿は恐ろしげだが、CG特有の作り物めいた雰囲気はぬぐいきれない。しかしそこにヴィン・ディーゼルが入り込むと、彼の周囲だけはある種のリアリティが生まれるのはさすがだ。彼のたくましい肉体が、周囲の「作り物」にまで命を通わせるのかもしれない。それはこの映画の他の出演者の周囲では起こりえない現象で、まさにスターならではのオーラを感じさせるのだ。

 リディックは魅力的なキャラクターなので、今後もシリーズが継続することを願いたい。天涯孤独のリディックだが、今回の映画では彼が故郷の星フューリアを探しているという内面的な動機が強調されているし(この設定は前2作にもあっただろうか?)、これまでにない優しさや温もりを感じさせるエピソードも増えている。リディックが人好きのする「いいおじさん」になってしまっても困るが、ヴィン・ディーゼルのキャラクターとハードボイルドな世界観を残したまま、こつこつとシリーズを積み重ねて行けるといいのではないだろうか。

 ヴィン・ディーゼル以外にこれといったスター俳優が出てこないので、キャスティング的には地味な映画。しかしこうした地味な顔ぶれだからこそ、最後に誰が生き残るか予想が付かないスリルが味わえる。低予算ゆえの制約ではあるのだろうが、これもまた1作目回帰かもしれない。シリーズ2作目がイマイチだったと思った人も、一見の価値がある3作目だ。

(原題:Riddick)

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2014年3月8日(土) 丸の内ルーブルほか全国ロードショー
配給:プレシディオ
2013年|1時間59分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|デジタル5.1ch
関連ホームページ:http://www.riddick-movie.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
前作DVD:リディック
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