ライジング・サン

1993/11/28 スカラ座
反日的ではと騒がれたマイケル・クライトン原作のミステリー。
描写は国辱を通り越してギャグに昇華されている。by K. Hattori



 この映画は一人で観ると落ち込みそうですが、誰かと一緒に観るとそれなりに楽しめます。ANRiさんは#2025で「もし誰かと一緒に観に行ったら、観終わった後に力の無い笑いをお互いにしあうか、もしくはどっちがこの映画を観ようと言い出したかで口論になるかのどちらかでしょう」とおっしゃいましたが、なんのなんの、この映画を誰かと一緒に見に行くと、観終わった後で力一杯笑えます。これは観ている最中に笑わないのがポイントで、何しろ観ている最中はあまりの出来事にあっけにとられていて、笑うどころではありません。

 もし女の子とと観に行って彼女が文句を言うようなら、かたことの日本語で「オトコニムカッテ!」とどなりましょう。「イイカゲン、ニ、シーロッ!」でもいいでしょう。それだけで、取りあえず笑いがとれます。あとは映画の中に現れる不思議な日本人について笑いとばしましょう。笑うしかないんです。他にどうすればいいってんでしょう。

 僕はオープニングの『用心棒』のパロディーらしきカラオケ映像ですでに笑ってしまって、あとは全編ニヤニヤしていました。日本人の会社員がショーン・コネリーの名刺をもらってやたらと恐縮するのは、もちろん彼がかつてMI6のスパイとして日本に渡り、日本人に変装して結婚までしていたのを彼が知っていたからに違いありません。残念ながらコナー刑事(スパイ時代にはジェームス・ボンドと名乗っていました)の拳銃は愛用のワルサーPPKからありきたりなリボルバーに変更されていました。原作ではこのあたりの経過がもう少し細かく書かれているのでしょうか。近いうちに原作を読んでみようと思っています。

 事件の解決のさせかたには、時代劇の影響がみられますね。しかも安っぽいテレビ時代劇のような唐突な終りかた。犯人が死にさえすればそれでいい。普通はまた一件別の殺人事件が発生したと解釈しそうなものですが、そうはならない。「これでいいのだ」とバカボンパパのようにうなずいたショーン・コネリーは、そのまま現場をほったらかして社長と接待ゴルフに出かけてしまうのです。そんなコネリーを見つめるスナイプスの目は、センパイに対する尊敬の思いであふれている。爆笑!!

 女体盛りにも爆笑したぞ。



ホームページ
ホームページへ