ベスト・フレンズ・ウェディング

1997/09/30 ソニー映画試写室
面白い映画は何度観ても面白い。ネタばれなんて関係ないんだ。
ラストシーンのダンスにはやはり感激してしまう。by K. Hattori



 話の中に多少ギクシャクした部分もあるのですが、それを主演女優の魅力でぐいぐい乗り越えて行く傑作コメディ映画。何度観ても同じ所で笑い、同じ所で泣けるのは、演出のツボがうまくはまっている証拠です。登場人物の誰もが魅力的で、類型的な人物から一歩も二歩も飛び出しているのがいい。2度観ると欠点もそれなりに分析できてしまうんだけど、それを補って余りある魅力に満ちた映画だから、最後はすべてを忘れて許してしまいます。主演のジュリア・ロバーツはもちろん、かつての恋人役のダーモット・マルロニー、その婚約者キャメロン・ディアス、主人公の仕事仲間ルパート・エヴェレットなど、出演者全員が役柄にぴったりとマッチしてます。

 前回も少し気になって、今回決定的に気になったのは、映画冒頭のジュリア・ロバーツ登場シーンで、彼女が有名な料理記者だということが瞬時にはわからない点。彼女の目の前に座っているのが編集者だということも、とっさにはわからない。このあたりはもう少しなめらかに物語に入って行ってほしかった。ロバーツ演ずるジュリアンが料理記者だという設定があるからこそ、終盤で彼女が男の心変わりを「料理に例えると……」と説明し始める場面が生きてくるんだけど、この映画の中では終始ジュリアンが料理記者には見えないんだよなぁ……。ダーモット・マルロニー扮するマイケルはスポーツ記者という設定ですが、彼については小さなエピソードや描写からそれなりに職業性が納得できる。

 この映画は音楽の使い方にひと工夫もふた工夫もあって、観ていてうなってしまうような場面がいくつかあった。ジュリアンとマイケルのテーマ曲になってる「The Way You Look Tonight」は、もともとはフレッド・アステアが1936年の映画『有頂天時代』で歌ったナンバー。船の上でマイケルがこの曲を歌いながらジュリアンと踊る場面では、船が橋の下に入ったところで歌声がフェイドアウトしますが、この部分の歌詞は「Lovely, never never change...」と歌ってるはずなんです。その歌声が消えてしまうところが、かつては愛し合っていたジュリアンとマイケルの今を象徴しているようで、僕は思わずホロリときてしまいました。

 キミーのキャラクターは「世間知らずのお金持ちの令嬢」というステレオタイプから、少しずらしてあるのがいいです。ジュリアンにライバル意識は持っているんですが、ぜんぜんいやらしくない。じつに可愛い女の子です。キミーの思いがけない強さと、マイケルへの気持ちが見えるカラオケ屋の場面は、何度観ても感激してしまいます。あの音痴ぶりもチャーミングです。

 ルパート・エヴェレット演ずるジョージが、レストランで自分とジュリアンの仲を「ドリス・デイとロック・ハドソンのような関係」と紹介する場面は、前回の完成披露試写でまったく笑いに結びついてませんでしたが、今回ソニーの試写室で観たときはそこそこの笑いになってました。客層が違うのかなぁ……。


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