銀河鉄道999
エターナル・ファンタジー

1998/03/02 東映第1試写室
観るものを感動させずにおかない傑作SF青春ドラマの続編。
あまりのデキに、言葉を失うほどショック。by K. Hattori



 昭和54年に公開された映画版『銀河鉄道999』、その2年後に公開された続編『さよなら銀河鉄道999/アンドロメダ終着駅』に続く、17年振りのシリーズ第3弾という位置づけの映画だと思います。「思います」といささか歯切れが悪いのは、松本零士の原作マンガは、映画以外にTVシリーズも作られており、映画版とはやや異なったストーリーになっているからです。今回の映画は、映画版の続編なのか、それともTV版の続編なのか、あるいは単に、現在ビッグゴールドで連載中の原作マンガを映画化したものなのか……。

 特別大きな期待をしていたわけではないのですが、それでも今回の失望は大きい。しかも「大きすぎる期待が裏切られた」というわけではないのです。最近の劇場用アニメーション映画として、あるいは、かつて一世を風靡した『銀河鉄道999』の続編作品として、こちらの最低限の要求水準がまったくクリアされていないという意味で、この映画には失望させられたのです。何より困ってしまったのは、作画レベルがあまりにも低いこと。20年近く前に作られた前2作の、足もとにも及ばないのはなぜ? 画面構成や演出の点でも、疑問な点が山のようにあるぞ。CGとセルの馴染みが悪いとか、録音された音に広がりがないなど、技術的な点でも指摘しておきたいことは山のようにあるけど、それ以前の問題です。

 アニメ界全体の作画レベルは、17年前と比べると比較にならないほど上がっている。だから新しい映画を作るからには、せめて前作と同程度の作画レベルはキープしてほしい。公開前に一部リテイクするそうですが、それで何とかなるレベルじゃないよ。ちなみに、本作の上映時間は54分。鉄郎とメーテルの新しい旅は、まだ始まったばかりです。物語は1999年に公開される続編で完結するとか。今回の映画は、そのプロローグであり、未完成の前半部分とも言えるでしょう。こうした「未完成でも劇場にかけちまえ」という姿勢は、『エヴァンゲリオン』の悪しき影響だと思うぞ。

 続編映画の楽しみは、前作までに登場した「お馴染みキャラ」に再会できる楽しみです。僕は客車のドアを開けて車掌さんが登場したときは、思わず胸がドキドキしてしまいました。メーテルの黒い帽子が見えたときも同じ。ところが今回の鉄郎は、映画版の鉄郎じゃなくて、原作に近いTV版の顔をしている……。これはちょっと裏切られた気分だぞ。ナレーターの声(1,2作は城達也)が変わったのは仕方ないけど、キャプテン・ハーロックの声まで違うのはなぜ? これじゃ喜びも半分だな……。今回クイーン・エメラルダスが登場しなかったのも解せない。(最後に宇宙船だけが登場。この時なぜか、宇宙戦艦ヤマトも登場する。)

 僕は特別『銀河鉄道999』が好きだったわけではないのですが、世代的にアニメブームの中で育っているので、身体に刷り込まれちゃってるんだよね。監督の宇田鋼之助は僕と同世代の1966年生まれ。なのにこの体たらくは何だ。あ〜、ガックリきたなぁ……。


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